特別3話 元剣部門準主席

 俺の名前はオイナー・リバイン。

 初恋の相手が親友に取られて傷心している最中だ。


 俺は現在モリヤマ伯爵様の命でメイド勧誘をしに王国まで来ていた。


 メイド勧誘と言っても自らが声かけをするわけじゃない、ちゃんとしたメイドショップとがある。


 メイドショップのメイドはほとんどが奴隷で、奴隷だからと言っても王国の奴隷は酷い扱いを受けていない。たがら、奴隷ショップと言っても違いはない。


「メイドショップへようこそ!」


 女性の店員さんが元気よく迎えてくれる。


「どのようなメイドをご所望ですか?」


「仕事さえできれば何でもいい」


 王国以外のメイドショップにはさまざまな人種が売られているが、王国には人間しか売られていない。


 個人的には獣人やエルフのメイドが欲しかったがクーカーが嫌がった。


 理由は分かる。異人種間の仲は良好じゃない、例えば人間がエルフの森で奴隷として売られていたら気分がよくない。つまりそういう事だ。そんな異人種を側に仕えさせるのは危険すぎるということだ。


「失礼ですが、身分は?」


 メイドというのもランクがある。A〜Cランクの三ランク存在して自分の身分に合わせてメイドを買うのが普通だ。


「伯爵家様のメイドを買いに来た」


「伯爵様でしたらAランク、Bランクですね」


 ランク分けされているがメイドの質は変わらない、Aランクのメイドは貴族産まれで、Bランクのメイドは平民産まれだが教育が行き届いた者、Cランクは過去に問題を起こしたが更生した者となっている。


 Bランクのメイドを買おう、発展途上の無人島にAランクのメイドを雇うのは少し危ない気がする。


「Bランクのメイドをお願いします」


「かしこまりました、少々お待ちください」


 店員さんの女性はしばらくして5人のメイドを連れて来た。


「まず、一番左のメイドからB002番、B230番、B111番、B121番、B888番です」


 メイドと言っても所詮は奴隷、名前は番号で呼ばれている。


 店員は名前である番号のみを紹介し能力などは特に説明がない。これは店員が買い手の見る目を確かめているのだ。


 何故買い手の見る目を確かめているのかと言うと、実はこの5名のメイドの中に売れ残りのCランクのハズレが3人いる。


 そんなの意地悪だと思うがいつまでも売れない商品をいつまでも保護していられない、いいメイドだけ売れても商品にならないし。


 そんなメイドショップの裏事情を知っている人はあまりいない。だが、俺はメイドの見極め方を知っている。何故かって?教えませんよ。


 B002番、金髪のハーフツインテールの彼女が本当のBランクのメイドだ。


 店員さんは驚いたような顔をする。どうやら当たりのようだ。


「B002番、前の名前はアキ。年齢は14歳です」


 俺たちと同い年だ。


「あと、B888番をください」


「あの…裏事情をご存知なのですか?」


 裏事情、つまりはメイドの中にハズレが入っていると言う事実のことだろう。


「ああ、俺も貴族の端くれなんでね」


 店員さんは諦めたような顔をする。


「B888番、前の名前はナイン。年齢は20歳です」


 ナインさんか、どこかクーカーに似ている気がする。身長の低さかな?


「B002番は料理が得意で、B888番は万能タイプです。ちなみにB888番は魔力持ちですが、今は封印しています」


 魔法を使わせてやりたい場合は主人となった者が魔力を使って封印を解除する。


「契約はお客様がなさいますか?」


「俺じゃなくて伯爵様が」


「かしこまりました、伯爵様の血液はお持ちですか?」


 俺はあらかじめシヨウから契約に血が必要だど言って血をもらっていた。


「契約致します」


 主人の血を奴隷が飲む事で奴隷契約は完了する。


「「いただきます」」


 2人のメイドがシヨウの血を飲むと光出した。


 2人合わせてお値段は白金貨60枚、1人白金貨30枚ってところだ。


 さて、メイド購入は済んだ。シヨウが迎えに来るまで待つとしよう。

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