第15話 軍神赤兎馬
急展開により俺たちは軍神が復活したらしい。さっきの地面の揺れが軍神が復活した証拠になるとビルダーさんは言っていた。
王国目指して早1時間、ビルダーさんの加速魔法でかなり王国に近づいた。あれ?最初から加速魔法使えばもっと早く着いたんじゃない?
「俺、魔力量が少ないからな〜」
確かにビルダーさんが移動だけで魔力を使い切ってしまうと軍神討伐の援護ができない。でも、早く王国に行って魔力回復させた方がいいんじゃない?
「歳をとると魔力の回復は遅くなるんだよ」
魔力回復は歳をとるたびに遅くなり、女性も男性に比べて魔力回復が遅いらしい。だが、出産を経験することで魔力回復は男性より早くなるとのこと。理由は赤ちゃんの神秘にあるらしいが定かじゃない。
「ついたぞ」
まだ復活して時間が経っていないせいか、王国騎士団が軍神討伐の準備をしていた。
「さあ、救世主が来たぞー」
王国騎士団に向かってビルダーさんは大袈裟なことを言った。
「はいはい、やりますよ」
俺は軍神の復活場所に移動する。どうにか王国に軍神が近づかないようにしなければいけない。
「行くぞみんな」
オイナー、クーカー、タインが俺の言葉に頷く。ビルダーさんは魔力を使いすぎて指示役をするだけの仕事となった。
「ビルダーさん、頼りないですね」
「すまねぇな、シヨウ」
笑ってんじゃねーよ。
「あれが軍神赤兎馬…」
「デカいし赤いな…」
「うわぁ、魔力すごいなぁ…」
「行きましょう…」
意外とタインは逞しい。大きく赤い、立髪が炎で燃えているすごいかっこいい見た目に怖さも感じる馬。見た目で圧倒されている俺たち3人とは違うな。
早速タインが俺に身体強化を始める。頼りになるなー惚れ直したぜ。
「それじゃ、俺が死んだらよろしく!」
「何度も言うけど死ぬ気か!?」
「さぁ、行くよシヨウさん!」
クーカーが弓に魔法付与を始め、俺もクーカーから借りた剣に雷の魔法を付与した。
軍神を感電させる、至って簡単な戦略だが簡単だからこそ不安定で難しい。
「ライジングショット!」
先生攻撃として軍神の顔面めがけてライジングショットを数発放つ。だが軍神には痛くも痒くないといった様子だ。
「よし、ライジングソード!」
「ライジングスラッシュ!」
俺はライジングソードを改造してライジングスラッシュを編み出した。こいつはライジングソードの3倍威力がある。でも全く効いてない。
「誰だよ雷が弱点って言ったの!」
俺はビルダーさんを睨みつけるが、ビルダーさんは顔を逸らしてしまう。
「あのさ、見た目通り水と氷が弱点なんじゃない?」
オイナーの言う通りだと俺も思う。つまりはクーカーの魔法は一切効かないことになる。
「タイン!君の身体強化が頼りだ」
タインにかっこいいところを見せたかった俺は精一杯のアピールをする。
氷の刃に加えて二重で巨大な水の球体、ビックウォーターボールも浮かべ軍神を囲む。
「軍神さらば!」
かっこいい言葉が思いつかなかった俺。軍神の肉体に傷が付かないようにあらかじめ氷の刃は刺さる前に爆発するようにしている。
俺の予想では立髪の炎を消したら軍神が倒れる、そんな感じがする。
ビックウォーターボールが落ち軍神の立髪の炎が消えた。明らかに軍神は弱まっている。続いて氷の刃を身体直前で爆破させる。
「…あれ?呆気ないな…」
「それはお前が凄すぎるんだよ」
久しぶりにオイナーの驚く顔を見た、それに今回はクーカーも驚いている。
「いや…魔法を2つ同時に放てるのは吸血鬼族か魔族だけだぞ…」
そして、ビルダーさんも魔法の威力がすごすぎて恐怖のせいか肩を震わせている。
「俺は人間ですよ…」
軍神と対峙してわずか30分以下で討伐してしまった。
「まあ、お米頼みますよ」
「よくお前米なんて言ってられるよな…」
「よし、気を取り直して。シヨウ!よかったな!お前は貴族の仲間入りだ!」
は?何言ってんのこのクソジジイ。
「あのな、軍神てのは200年前に勇者しか討伐出来なくて。それも封印だ、そしてその封印も今解かれちまった。お前は勇者でも倒せなかった奴を倒しちまったんだぞ?」
なんか騙された気分だが、この軍神討伐の依頼を受けた時点で貴族になると決まっていたみたいなものだ。
「そうだな…まず騎士爵以上にはなるな」
待てよ、貴族になるってことは自分の領地が持てる。だったら俺が産まれた無人島を俺の領地にしたらいいんじゃないか?ちょうど無人島産ソースが切れかけているし。
それにブランク男爵家に帰る必要はない。なんだ、貴族っていいこと尽くめじゃないか。
もしかしたら無人島でガオガオが見つかるかもしれないし。
「ということで明日は国王陛下に謁見な」
うわ…貞操観念ガバガバ豊臣秀吉国王陛下に会わなきゃいけないのか。しんどいな。
もう、現実逃避するしかない。明日国王陛下の謁見が終わったらタインにプロポーズでもしようかな。俺が貴族になったら身分の低い女性はお誘いを断る権利がなくなるから。でも、タインがその気じゃないのも困る、断りやすくプロポーズするか。
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