第12話 バイオン嫁3人の出産
デアンヌさんに陣痛が来た。ついにデアンヌさんも出産だ。俺はバイオン様と助産婦さんを呼ぶ。
デアンヌさん、助産婦さん3名が個室に入り俺とバイオン様は外にでる。
「ついにデアンヌさんも出産ですか」
2週間前にはアルフ様やジオルー様が出産した。アルフ様の息子の名前はアルフレート、ジオルー様の娘はジオラー。よくもまあ似たくさい名前を付けるものだ。
「赤ちゃんの世話任せていいか?」
忘れていたかもしれないが俺は子供が大好きなのだ。デアンヌさんから産まれた子供は俺が精一杯世話をしよう。
「はい、お任せください!」
流石にアルフ様とジオルー様の子供を可愛がるのは少し気が引けるからあまり手を出さないようにするが、デアンヌさんの子供は遠慮なく可愛がらせてもらうとしよう。
出産の現場に立ち会うのは今回で2回目だ。1回目はタルク様の出産、2回目はデアンヌさんだ。出産の現場は妙に緊張して落ち着かない、俺の子供が生まれるわけじゃないんだけどね。
現在時刻午後6時、狩から帰ってきて直後の話だ。さて、デアンヌさんの子供は男の子なのか女の子なのか。俺の希望は男の子だ。欲を言えば魔法使いが産まれてほしい。
俺は気を紛らわすために魔法鍛錬を始める。
「魔法が使えるの憧れるな」
「あーアルフレート様とジオラー様は魔法適正なかったんですよね」
ここで、デアンヌさんの子供が魔法適性があったら思わぬ波乱を起こしかねない。貴族ってめんどくさいね。
かれこれ5時間経ち時刻は午後11時、少し眠たくなってきた。すると、間もなく赤子の鳴き声が響き渡ってきた。
「光ってますね…」
産まれたての赤子は男の子、しかも魔力持ち。これは非常にまずい。念のためアルフ様とジオルー様の席を外させておいて正解だ。
この子はラノベ主人公並みに苦労するだろうな…他人事みたいに言うけど実際そうだ。
名前はケイ。運悪く魔力持ちになるなんてな、バイオン様も困った顔をしてらっしゃる。まあ、産まれて来てしまったから仕方ない。俺も出来るだけこの子の手助けをしてやろう。
「まさか魔力持ちが産まれるとは…隠すか」
そうだな、隠すしかない。アマゾン侯爵様やゼオジー辺境伯様にバレたら何されるか分からない。
「あの、困ったら頼ってくださいね」
13歳の俺に何ができるか分からないがな。
「シヨウ君、ありがとう」
今は魔力があっても使えない、だが、5歳になると魔法が使えるようになる。そこからは俺がケイ君に魔法制御のやり方を教えるしかない。
「あの、提案なんですけど。ケイ君を俺の養子にするのは…」
「ダメだ!しかも、シヨウはまだ未成年だろ!」
うむ、即答ですか。確かにこの世界では未成年だな。やっぱり最愛のデアンヌとの子は大丈夫らしい。
一方でバイオン様とアルフ様、ジオルー様との仲は微妙に見える。互いに好き合っている様子もあまり見えない、好きでもない人と子作りしなければいけないのは少し可哀想な気がするが彼女達も父親には逆らえない。
やっぱり、俺の結婚相手はタインに決まりだな。彼女は貴族様じゃないし、うるさくないし。実は俺、うるさいの嫌いなんだよね。
間違ってもクーカーとは結婚しないぞ。彼女はうるさくないけど、彼女がいると貴族社会から逃れられないと思う。
来年タインに告白しよ。
さて、現実に戻ろう。俺はデアンヌ様からケイ君を受け取る。うん、かわいい。スクスク元気に育てよ。
「まあ、何にせよ今のうちは何も考えず育てましょう」
「そうだな、魔法使いのシヨウ君が言うならそうしよう」
やっぱりバイオン様は頼りないな。バイオン様は戦場でしか逞しさを見せることができないのかもしれないな。
デアンヌ様が無事出産を終えて一安心。まあ色々問題を孕んでるが。
こう言うことはクーカーに聞くのもアリかもしれない。何せ彼女も貴族社会の荒波に呑まれた経験があるはず、デアンヌさんと同じ例があってもおかしくない。
「それは確かに困ったね」
後日早速クーカーに相談したが、意外とあるあるな話らしい。彼女が言うにはそんなに気にすることじゃないらしい。
要するに所詮側室の子供で、外に出る身だから気にしなくていいらしい。確かにそうかもな。
急に呼び出して話はこれだけってのももったいない、俺はタインに好きな人がいるかクーカーに聞いてみることにした。
「タインの好きな人?分からない」
タインの好きな人が分からないのかいないのか、どっちなんだろう。
「そっか、ところでさ、クーカーはオイナーのことどう思っているの?」
「んー分からない」
分かったぞ、クーカーは恋愛事情に疎いパターンだな。
「あ、もしかしてオイナーって、タインのことが好きなの!?」
あっ、こいつ超がつくほどめんどくさい。
「やっとタインに春が来たのね!」
今日学んだことがある、クーカーには回りくどい言い方しても何も伝わらない。直接言いたいことを言うのが一番のようだ。
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