第0.1話 意外と料理が好き
デアンヌさんが妊娠してしばらく経ち、来月に出産するかしないかになっていた。一方でアルフ様やジオルー様は今月中に子供が産まれる予定だ。
可哀想なことに外の目があるため妊婦のデアンヌさんには世話係がいない。本来ならデアンヌさんの親がこちらに来るべきなのだが随分と薄情な親だな。
そういうことで気を利かせた俺はデアンヌさんの身の回りの世話をすることにした。
「シヨウ君いつもありがとう」
そうバイオン様に感謝された。貴族の領主様が妊婦の世話をするのは禁止されている。
「いえいえ、なんかデアンヌさんが苦労してそうだったんで」
「そうかい。じゃあ、デアンヌに何かあったら呼んでね」
なんか、意外とバイオン様頼りないな。やっぱりブラック男爵様の血を引いているんだな。
さて、今日も朝からバイオン騎士爵別邸に行き俺が作ったトマトとレタス、茹でた鶏肉に加え無人島産ソースをかけたサンドウィッチを届ける。アルエ様ぶりの無人島産ソース。無人島産ソースの材料は未だに入手できていない。
「ありがとう!このソースさっぱりしてて好きだな〜」
無人島産ソースは日本で言うところの青じそドレッシングだ。俺は青じそドレッシングが大好きだからこいつを作ったのだが製作に2〜3年かかった。
「じゃ、俺は学校行ってきますね!」
「いってらっしゃい!」
俺はパンを口に咥え魔法学校を目指して走るのだった。
そうそう、最近俺は料理を研究する様になった。無人島生活ぶりに調理するが調理道具が充実していて楽しい。
今日学校に持って行く弁当の中身は鶏肉の唐揚げ、ミニトマト、野菜炒め、米がないためパンという感じだ。鶏肉は非常に安価だからよく使っている。
「相変わらずシヨウは変わった弁当の中身してるよな。その茶色くて丸いの何?」
「これは鶏肉の唐揚げだけど。食べてみる?」
「いいのか?それじゃもらうけど」
オイナーがフォークで俺の唐揚げを一つ刺して口に入れる。
「おっ、カリッとして美味いな!」
「どれどれ、私も一個ちょうだい!」
背後から唐揚げを手掴みするのはクーカー。
「うん、美味しい!」
四つあったら俺の唐揚げが残り二つになってしまった。クーカーの隣にはタインがいる。タインも唐揚げを食べたそうにしているように感じる。
「タイン、唐揚げいる?」
俺は唐揚げを爪楊枝でさっぱり刺してタインに渡す。タインは恐る恐る唐揚げを受け取りカプリつく。カプリつくという表現にした理由はちょこちょこ食べるタインの可愛らしい様を表したからだ。
「美味しい…です」
最近タインの魅力に気がついた。まずおどおどしている所が男の庇護欲を誘う。あと、意外と胸がでかい。本当に13歳なのか疑わしい。
見た感じオイナーはクーカーに気があるようだし、俺は見た目貞子のタインを攻略するとしよう。まあまだ出会って半年しか経っていないからゆっくり行こうじゃないか。
でも、男女間にいざこざが起こっても困るから俺はオイナー、クーカー、タインの様子を見て動かないとな。
クーカーはあまり恋愛に興味なさそうな節があるんだけどどうなんだろう。
「クーカーって好きな男性いるの?」
「いない!」
即答だった。まあ、オイナー頑張れ。
実際、クーカーが学校を卒業したら求婚されまくることになる。何せ彼女は冒険者として優秀で魔法使いとしても申し分ない。彼女がいるだけで圧倒的な戦力になるのだから。
オイナーが頑張ってクーカーの心を射止めた暁には男爵以上の地位を築けるだろう。そうしたら俺とタインでオイナーとクーカーを支える。いいね、夢があって。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます