第11話 キングホッパーとクイーンホッパー

 今日は授業終わりにパーティーメンバーみんなで初の魔物退治を行う。俺とクーカーは別として、オイナー、タインは生活費を自分で稼がなきゃいけない。


 クーカーは学生になる前から冒険者ギルドに所属してお金がいっぱいあるらしい。ちなみに、冒険者ギルドは10歳から登録可能だ。


 今日の目標はキングホッパー討伐だ。巨大なバッタで見た目がすごく気持ち悪い。こいつは上級の冒険者でもなかなか倒せないくらい強い。


「これが、キングホッパー…」


 俺とオイナーはキングホッパーのあまりの大きさに驚き立ち尽くす。一方でクーカーとタインは男たちが役に立たないと思ったのか2人で戦闘準備を始める。2人はキングホッパーを見慣れている様子だ。


 クーカーは剣腰から抜きタインに渡す。そしてクーカーは背中に備えていた槍を持つ。ちなみに背中に弓も備えている。この人は動きやすやより武器をたくさん身に付けたいらしい。リュックもぱんぱんである。


 クーカーは槍の先端にイナズマを纏わせる。一方でタインは肉体強化をして剣を強く握る。


「行くよタイン!」


「はい!」


 まずタインがキングホッパーを引きつける。キングホッパーは器用に後ろ足でタイン攻撃をするがタインが上手く攻撃を剣で吸収する。本来ならキングホッパーのキックはどんな人でもぶっ飛ばされ、身体中を複雑骨折させる威力がある。


「ライジングスピアー!」


 一方、キングホッパーの顔面を狙いクーカーが空中から飛んできた。槍の先は電気ビリビリ状態、そんな槍が見事にキングホッパーの頭を貫く。


「お見事…です」


 俺はなんとか言葉を絞り出したがやはりあの巨大な虫は気持ち悪すぎるし、クーカーとタインの迷いない連携に驚いた。


「いきなりキングホッパーは気持ち悪かったかな?」


 そうだ、いきなり巨大な虫とか冗談じゃない。だが、このままでは男として情けない次は俺とオイナーだけでキングホッパーを倒す。


 だが、キングホッパーは数が多いものではない。2匹目のキングホッパーを探すのに1時間経っていた。


「あ、あれ。キングホッパーじゃね!」


 オイナーがキングホッパーを見つけたらしいが、キングホッパーにしては色が違う気がする。


「あれはクイーンホッパーね」


 クーカーが言うにキングホッパーは緑色で、クイーンホッパーは赤色に加えてキングホッパーより一回り大きいらしい。当然キングホッパーの倍強い。


「よし、やるか」


「よし、やるか。じゃねえよ!」


 俺は戦う気満々だが、オイナーはそんな感じしない。そんな様子を見て心配そうな顔でクーカーが救いの手を差し伸べる


「私たちも手伝う?」


「是非!お願いしたい!」


「いや、大丈夫。行くぞオイナー」


 俺は氷の刃を6つ空中に浮かせる。


「いけー!!」


 氷の刃はクイーンホッパーの身体全体に突き刺さり、数秒後氷漬けになった。


「おい、シヨウ。おまえ…」


 オイナーが目を丸くしていて、クーカーは「すごーい」と言いながら拍手をしている。タインは…特に反応なし。


 俺はクーカーの凄さに興奮して、俺も思わず興奮に身を任せて派手に氷の刃を放ってしまった。そう言えば俺、回復魔法しか使えないって言ったよね。


「えーっと。実は回復以外の魔法が使えるんだけどおかしくないよね」


「うーん。回復魔法が使えると他の魔法は使えないはずなんだけど。まあ大丈夫でしょ!」


 すごく適当な感じするけどクーカーの言う通り「大丈夫でしょ!」を信じることにした。まあクーカーも大概だしな。


 俺たちはキングホッパーとクイーンホッパーを冒険者ギルドに持っていき換金してもらう。


 キングホッパーは金貨4枚、クイーンホッパーは金貨8枚。結構稼げた。


 硬貨には4種類あり、銅貨は日本円で百円。銀貨が千円、金貨が一万円、大金貨が十万、白金貨は一億という感じだ。


 ということは今回稼げた金額は十二万円、1人三万が報酬となる。


「オイナー何もやってなくない?」


 クーカーがそう言う。確かに、でもオイナーも生活費が必要だろう今回は目を瞑ろう。


「シヨウがそう言うならいいけど…」


「シヨウありがとう!」


「次はないからな」


 言うてもオイナーは剣で準主席合格したんだ、いずれは虫みたいな魔物を倒せるようになると思う。

 

 換金後、俺たちはそれぞれ解散した。俺はバイオン騎士爵家に帰る。


「あ、シヨウ君おかえり!初めての狩りどうだった?」


 バイオン騎士爵邸から少し離れた場所でバイオン様の側室、デアンヌさんが話しかけてくれた。だから、最近は様じゃなくさん付けしてデアンヌさんと話している。


 バイオン様の嫁さんの中で俺と一番話が合うのはデアンヌさんだけだ。貴族出じゃなかったからなのか分からないが。もちろん正妻のアルフ様や側室のジオルー様と仲悪いわけじゃない。


 だが、デアンヌさんとアルフ様、ジオルー様の間には大きな壁があり、バイオン騎士爵邸にはアルフ様、ジオルー様が住み、別邸にデアンヌさんが住んでいる。デアンヌさんが可哀想に感じるが彼女は元が貴族じゃないため仕方ない。


「今日はクイーンホッパーを狩りました」


「すごいね。いきなりクイーンホッパー倒すなんて、いいパーティー組めたみたいだね」


 デアンヌさんは優しく微笑む。ちなみにデアンヌさんは妊娠している。なんかタルク様にしてもデアンヌさんにしても妊娠するの早くない?アルフ様とジオルー様も妊娠中とのこと。


 一気に子供ができるのはいいけど、できれば重婚したくないな。聞く話によると国王陛下の側室は数えきれないほどいて、子供も国王陛下自身が分からないがほどいるらしい。豊臣秀吉かよ。俺は明智光秀を目指そうと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る