1章

第10話 13歳になり学校へ

 俺は13歳になり、ついに魔法学校に通うことになった。学校にはバイオン様の家から通うことになっている。今日は学校初日だ。


 魔法学校は2年制で、魔法使い以外の人も入学可能である。授業内容は魔法が3割、残りは冒険者になるための基礎知識が学べる。どちらかというと冒険者学校の方が正しい気がするが何も言わないでおく。


 魔法学校入学と同時に冒険者ギルドに所属し、この学校でパーティーを組むのが基本。パーティーを組むにもバランスが必要で、前衛、後衛、守備、回復をしっかり考えなければいけないが、回復は魔法使いしか使えないためほとんどのパーティーは魔法使いがいない。できれば俺は後衛をしたい。


 さて、誰とパーティーを組もうかな?見た目だけでは能力の判断ができない。とりあえず俺は隣の席に座る男性に話しかけた。


 彼の名前はオイナー・リバインといい、剣が得意と先程した自己紹介で言っていたがどうなんだろうか?見た目はそこそこイケメン、韓流系の顔だ。日本に連れて行ったらかなりモテると思う。


「リバイン様はもうパーティーメンバーは決めましたか?」


「オイナーでいいよ。様もいらないし」


 オイナーは貴族にしては性格が優しく、隣が彼で良かった。

 

 オイナーの実家は男爵家だ。次男で将来は長男のサポートをするらしいがオイナー自身は冒険者になりたいらしい。


「パーティーメンバーを初日に決めるのは難しいと思うぞ?」


 オイナーはそう言うが、周りはもうパーティーメンバーを決め始めて纏まりつつある。


「でも、周りはパーティーのかたまりができてるけど…」


「え、まじ?」


 どうやらオイナーはマイペースらしい。でも焦らずゆっくり冒険ができそうだからオイナーをパーティーに誘ってみよう。


「俺とパーティー組まない?」


「それはありがたい。魔法使いがパーティーを組んでくれるなんてなかなかないからな!」


 そうだ、魔法使いがパーティーメンバーにいるのはかなり贅沢だ。


 この教室には魔法使いが10人程度で残りの40人は魔法を使えない。その中でも3人しか回復の魔法を使えない。ちなみに俺は回復の魔法しか使えない設定で自己紹介をした。


「後2人か3人でパーティーは完成するけど、女の子も欲しくないか?」


 パーティーに花が欲しいとオイナーは言うが俺は要らないと思う。なんか修羅場展開が起こっても嫌じゃん。


「まず弓は必須だな」


「ねえ、私をパーティーに入れさせてもらえないかな?」


 オイナーの前に座っている少女がパーティーメンバーに立候補してきた。髪の色が黄色で肩くらいに伸びた髪を左にまとめて縛ったような髪型をしている。可愛らしい女の子だ。


 彼女の名前はクーカー・ライゼン。ライゼン男爵家のサンダーガールと呼ばれていてかなり有名だ。


 剣、弓、槍、しまいには魔法を使える。この学校は入学試験があるが彼女こそが格闘、剣、弓、槍、魔法すべてにおいて主席合格をした逸材なのだ。


 ちなみにオイナーは剣で準主席合格している。俺も魔法において準主席合格だ。学費が免除されるからな思わずやり過ぎた。


「私、回復魔法が使える人とパーティーが組みたいんだけど取られちゃって」


 クーカーの通り名サンダーガールの通り雷系の魔法しか使えないとのこと。まあ魔法が使えるだけすごいけど。


「あ、私もクーカーって呼び捨てでいいから!」


 それにしても、主席1人に準主席2人。このパーティーかなりすごくないか?俺、あんまり目立ちたくないんだけど。ただでさえアマゾン侯爵様とゼオジー辺境伯様に目をつけられているというのに。


「もうパーティー3人でも許されんじゃね?」


 なんかあと1人集まっても、その人もかなり優秀になりそうで恐い。他とバランスを取らないと。


「あと1人私の幼馴染を誘っていいかな?」


 クーカーはそう言うと席を離れて、その幼馴染を連れてきた。目が前髪で隠れている、貞子みたいな見た目の少女を連れてきた。身長も168センチくらいあり163センチの俺よりか身長が高い。それを見てオイナーは顔を引き攣らせる。


「彼女の名前はタイン。うちのメイドの娘なの」


 容姿は置いといてタインが優秀じゃないことを祈ろう。


「タインは魔法を使って身体強化をして戦うの」


 魔法使い…3人もいるよ。


「あの…よろしく…お願いします」


 オイナーが苦笑いで俺に助けを求める。


「あー、タインさん。歓迎するよ」


 クーカーはタインに「よかったね!」と言って、それにタインはこくりと頷く。ちょっとかわいいかも。


 前衛にオイナー、タイン。後衛にクーカー、回復に俺。めちゃくちゃバランスがいい。


「なあ、思ったんだけどクーカーとシヨウだけでも十分だと思うんだけど」


「それは…私も思っている」


 タインもオイナーの意見に納得しているように頷く。


「そうかもしれないけど私はタインと一緒にパーティーを組みたかったんだよ」


 なんとなく分かった。タインが気味悪いからなかなかパーティーに入れなかったんだろう。だからこそタインと仲がいい主席合格のクーカーが余っていたのだ。


「いやーシヨウ君が優しくてよかったよ!もう回復諦めようと思ったから!」


 クーカーは所詮メイドの娘にも優しい、まあパーティーを組むな性格がいい人組みたいから安心だ。


 苦笑いしているオイナーだが、いずれはタインに慣れてくれることを信じよう。もしタインを非難するならオイナーにパーティーを抜けて貰えばいいのだし。


 さて、パーティーメンバーが決まった。メンバーを紙に記入し教師に提出をした。リーダーは主席のクーカーにしようと俺が言ったが、クーカーが嫌がりジャンケンの結果俺がリーダーになった。


「お、バランスがいいじゃないか!」


 教師は戦力が凄すぎるのに別に咎める様子がなく逆に褒められてしまった。教師が良いと言うなら別に気にすることでもないか。

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