第8話 タルク様の出産
この領地での生活も2年目に入り12歳になっていた。今日はおめでたい日だ。なんとボーロ様とタルク様の間に子供ができたのだ。
なんか10代の女性が子供を産むのは珍しく感じるが、戦国時代とそう変わらないかもしれないから気にしないでおく。
名前はスカイラ女の子だ、しかも魔力を持っている。女の子であったもののブランク男爵様はすごく喜んでいた。そしてブランク男爵様が馬鹿げたことを言った。
「シヨウとスカイラが結婚すれば、その子はすごい魔法使いになるのでは?」
その言葉に頷くボーロ様達。いやさ、スカイラ様を他の貴族家に嫁に出せばこの領地はもう少し裕福になると思うんだけど。いかにも早計過ぎる彼らに呆れてしまう。
あの、魔法使いに遺伝とかは関係ないはずなんだけど。そういう風にサンおばあさんに聞いたんだけど。
俺はこのままだとダメだと思いスカイラ様が物心つかないうちにここを出ることに決断した。まあアルエ様が成人する前にはなるが6年後、アルエ様が13歳の時には領地を出よう。
3ヶ月後には槍の師匠バイオン様が結婚する。ちなみにバイオン様は独立して騎士爵になり小さいながらも王都の近くに領地を構えているらしい。まあ遠くに位置しているが一応はブランク男爵家の分家という扱いらしい。
領地には冒険者時代の仲間や、王国騎士団の優秀な部下達が住むことになっているらしい。下手したら本家様より上の役職を得ちゃいそうで怖いな。
ブランク男爵様の血を受け継いでると思えないほど優秀だ。というか息子3人共優しいんだよね。気遣いできるし。あれ?ブランク男爵様が死ねば奴隷から解放されんじゃね。
でも、跡継ぎの筋肉師匠、シルムン様にまともな統括ってできるのかな?まあそのために次男がいるわけだし、大丈夫だろ。
なんにしろ当主が交代されないされない限りは6年後にはこの領地を離れることにする。
さて、難しいことは考えずに、俺は子供好きなわけだしタルク様に頼んでスカイラ様を抱かせてもらうとするか。
「未来の旦那様よー」
タルク様、俺はまだ結婚するとは言ってないですよ。まあかわいいし6歳くらいまでは面倒見るよ。でも、それ以降は既成事実みたいなの作られたくないし近寄らないでおこう。
そうそう、なぜスカイラ様が魔力持ちと分かったのかというと、魔力持ちは産まれた時に赤子の体が軽く光らしい。
魔力持ちだったら魔法の教師が必要だよな?どうするんだろ。俺が2年制の魔法学校に行ってスカイラ様の魔法指導をする。これならブランク男爵様も魔法学校に行くことに許可してくれるだろう。
「そうだな。シヨウは来年13歳だ。丁度魔法学校も入学は13歳からできるわけだし、行くといい」
よし、来年で一旦奴隷生活を脱することができる!なんかこの世界に来てから脱出することしか考えていないような気がする。
さて、話は変わるが俺は久しぶりにガオガオの見よう見まねで習得した氷の刃を練習することにした。今ではガオガオを超えるほどに氷の刃を生み出すことができるようになった。
ガオガオと疎遠になってから2年になる。疎遠になる前の2年前でも相当老いていたガオガオは、今生きているのか心配だ。10年も共に過ごしてきたのだ、別れの瞬間には立ち会いたい。
だが、今の俺はガオガオのことを心配しているほどの余裕がない。申し訳ないがもう少し余裕ができるまでガオガオを探すのはやめておく。最悪死んでいても遺体さえ見つかってくれたらいいのだが。贅沢言わば墓を作ってもらえるととても嬉しいのだが。
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