第2話 小さなもの同士で身体を寄せ合う
この大自然に来て1ヶ月経った。俺は木に傷を付けて日数を数えていたのだ。
この自然についてだが、まず川が見つかり水は確保できた。今は無理だが魚が食べられるようになるかもしれない。
果物もりんごだけではなく、梨、バナナ、ブドウが見つかった。ここ1週間の間は果汁100%を超えたと言っても過言じゃないほどに爽やかなフルーツジュースを楽しんでいた。だが、そろそろ果物以外も食べたい。
もちろん水分だけじゃ生きられないから果物を石で軽くすり潰して小さな固形にして果物を食べていた。
あと、村とかがないか探したが一切見つからない。俺は川の流れに沿って下りながら探索をする。
とにかくこの森は大きい。北海道まではいかないが都道府県1つ分くらいこの森は大きいかもしれない。
そろそろ俺は人が恋しい。今気がついたのだが甥と姪に一生会えなくなってしまった。そう気がついて俺は一日中泣いていた。
人も一切見つからない。もしかして俺ってアダム?じゃあイブは何処?早く子作りしようぜ。もっとも今の俺はほぼ乳児だから子作りなんかできない。
魔物も今のところ見つからない。
ここでの生活3ヶ月が経った。俺は動物を見つけた。あれは明らかに狼だ。白くて綺麗な毛並みだ。
まだ幼い狼のようでかなり身体が小さい。第一村人発見と言いたいがあれは人間じゃない、だが生き物が1匹いるだけでかなり生活は大きく変わる。
狼はこの子しか見つからなかった。そうだ名前を付けてやろうギンギン…はなんか卑猥だな。俺はしばらく考えガオガオという名前にした。狼も喜んでいるように見えるから決まりだ。
もしかしたらガオガオは妖精かもしれないな、俺、魔法少女になれるのでは?いや魔法青年か?そんな妄想をした。
「ガオガオ〜俺になんか渡す物ないか?」
俺はガオガオに物を強請る。ぬいぐるみのような生物が住み着く携帯とか欲しいなー、憧れるよねプ○キュア。俺は男だけど。
ガオガオと生活を始めて2ヶ月、俺がこの森に来て5ヶ月目となった。ここで初めてピンチに陥った。
目の前には熊がいる、終わったな。
俺とガオガオは抱き合い涙を流した、そんなこと構わずこちらに全力疾走で襲い掛かってきた。
だが、熊は俺たちを襲わず通り過ぎていった。後ろを見ると熊は口にウサギを咥えこの場から去っていった。ウサギいたんだ。
なんか異世界転生したけど何も変わらないな…もしかして異世界じゃなくて地球にそのまま転生したのか?
果物にしても生き物にしても普通すぎる。魔法とか使ってみたかったな。
もっとも魔法が使えないにしても今は戦力が必要だ、何せ熊がいたのだから。俺はこの小さい身体でありながらも鍛練を始めた。
たまに熊を素手で撃退したおっさんとかニュースで聞くのだがあれは本当なのだろうか?
とにかく、今のままではダメだ。俺はこの弱肉強食の地からガオガオと一緒に出るんだ。もっとも脱出場所となる川に繋がる海にはまだ辿り着かないのだが。
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