第11話ぼん&きむら&やはぎ
ぼんれすハム『あ〜〜〜〜もーーー特定終わんないよーーーーーーー;;むずすぎ!!!』
ぼんれすハム、きむら、やはぎたん。3人の特定班は頭を抱えていた。
今回は姫てゃ!のSNSでの発言から住所特定に繋げるのが目的だ。この特定班3人を束ねるリーダーはぼんれすハムだ。
ぼんれすハム『この女嘘おおすぎ萎え』
やはぎたん『最寄り駅多すぎるな、虚言癖えっぐ』
そう、とにかく嘘が多いのだ。姫てゃ!と通話を終えたはなみから伝えられる情報が毎日違う。
さらにはTwitter班、ワニ&弥生から流れてくる情報とはなみの情報が噛み合わない。
まずは最寄駅を特定しようとしたが、難航していた。
はなみ『最寄り駅:池袋、新宿、浦和だって〜こいつ引越しすぎ』
ワニ『去年巣鴨に引っ越したらしい、んで今は五反田住み』
まずは最寄り駅情報。全て一致しない。
ハァ〜、とため息をつく一同。やはぎたんも同じ気持ちだったようだ、コメントが動いた。
やはぎたん『家なんぼあるんや』
きむら『山手線一周するつもりだよ』
数十分後、きむらがコメントする。
きむら『あ〜あ。太もものアイコンも広い画でした、コンカフェ嬢の自撮り無断転載しまくりですね』
ぼんれすハム『あらら』
虚言癖に加えて無断転載。しかもゲーム内では乞食。こうなれば何の情報を信じればいいのか。
きむら『あーもう……! どこから手を付ければいいのやら……』
ぼんれすハム『焦らない焦らない。こうなったら一個づつ調べていくしなかいよ』
やはぎたん『心折れる』
皆を元気づけるかのように指揮を取るぼんれすハム。
ぼんれすハム『でもこれで分かったね。1つだけ、画像検索に引っかからない画像がある。ワニちゃんが持ってきた制服のスクショ。これって特定の手がかりにならないかな?』
ここ数日間彼らは Twitterに貼られる姫てゃ!の画像を解析し続けた。
そして分かったのはそして一つの真実。その画像だけは姫てゃ!自身のものに違いなかった。
きむら『確かにこれは広い画じゃないっぽいね』
と、書き込みつつ動揺するきむら。
日本中の制服を一つずつ検索……? 時間がどれだけあっても足りないのでは…?
そうきむらが思ったときだった。
その動揺を見透かしたようにぼんれすハムが指示をする。
ぼんれすハム『とりあえず、関東圏内の制服を探そう。発言から考えて姫てゃ!は少なくとも関東圏に住んでいる可能性が高いよ。私は東京近辺の高校を調べてみる』
きむら『なるほど。じゃあ、わたしは埼玉と群馬辺りをしらべる』
やはぎたん『わたしは神奈川方面調べるや。実は神奈川在住でした〜とか全然ありそ』
特定範囲の役割分担が決まった。
数時間後。黙々と一枚のツーショット写真から高校を特定していた3人。コメントが動く。
ぼんれすハム『なんと! これは都内の○△高校です! 画像検索頑張った〜!』
きむら『お、ぼんちゃんナイス!』
だがここで思わぬ壁に立ち塞がった。
ぼんれすハム『……高校が分かったとして、ここからどうするの……?』
きむら『だからそれは、tweetとか発言から住んでる地域からその高校の周辺を調べて……』
やはぎたん『でも姫てゃ!嘘ばっかじゃん』
きむら『あ……』
数十分間動かないコメント。
やはぎが先陣をきった。
やはぎたん『これ以上は無理だべ』
ぼんれすハム『うう……;;』
一気に空気が重くなる。
きむら『これ以上は無理です。すずかごめん』
すずかあてにdiscodグループで連絡が入る。
ここ3日間特定を続けたが、無理だったこと。流石に諦めるしかないこと。
しかし、そんな事情は彼女に関係なかった。
すずか『なんで諦めるの? わたしのためでしょ? 探してよ。わたし、毎日辛いのに……みんなだけが頼りなのに……』
もはやそれは命令。
ぼんれすハム『そうだよね、ごめん。もっと違う角度から探してみるね』
やはぎたん『すずか、泣くな』
きむら『大丈夫、すずかのこと裏切ったりしないから。諦めないで探すよ』
再び特定班は動き出す。
ぼんれすハム『もうこうなったら手当たり次第だね。○△高校の生徒のSNS全部検索しよう』
Instagram。 Twitter。Facebook。その全てで○△高校の生徒を検索する彼ら。
その数は膨大だった。
寝る間も惜しみ、目は乾燥しまくりで、クマも酷い。
2週間後。
ぼんれすハム『!? ちょっといい!? これ見て! 多分これ姫てゃ!と一緒に写ってた人!』
ぼんれすハムがスクショを貼る。そこには自撮りをしている女子高生の写真。
カバンには特徴的なキーホルダーがぶら下がっており、首筋にはほくろが一つ。
それは例のツーショット写真で姫てゃ!の隣に写っていた人と同じ特徴だった。
そしてその投稿日は……
きむら『5年前!? どおりで見つからないわけだ。じゃあこいつ今23歳か、年齢詐称乙』
やはぎたん『あ、本当だ。ネイルまで一致。確実に同一人物だね。にしても5年前か』
まさかの5年前の投稿に愕然とする一同。
ぼんれすハム『んー、姫てゃ!のTwitter投稿日は3月上旬じゃん? じゃあ卒業式シーズンだな、って○△高校の卒業式付近の投稿に絞ってたんだけどなかなか見つからなくて……』
やはぎたん『それで5年前まで遡ってみたら姫てゃ!の友達がインスタに見つかった、と』
やはぎたんはしばらくコメントをする手を止めた。しばらくして、またスクショを添付する。
やはぎたん『コメント欄に姫てゃ!らしき人物発見。文体も全く一緒』
—卒業しても、いつメンに変わりはないのだぁ! ぅちらはずっと友達だょ〜♪
すぐに三人は姫てゃ!らしき人物のインスタアカウントを隅々まで見た。
そしてすぐにスクショが送られてくる。
ぼんれすハム『本名見つけちゃったかも。姫てゃ!の誕生日投稿なんだけど、バースデーケーキよく見て』
バースデーケーキの上には名前が書かれたチョコレートのメッセージプレート。
やはぎたん『うわ、こいつ名前だっさ』
きむら『名前昭和かよwwこの嘘つきのどこが清らかなんだよw』
そこには【鈴木 清江】とデカデカと書かれてあった。
投稿文にはこう書かれてある。
【きょぉで”きっちゃん”ゎ17歳になりましたぁ! みんな、お祝いメッセージありがとうだよ〜びっくりして泣いちゃったのはここだけのは・な・し・! これからパパとお買い物でーす! 憧れのブランドバッグ買ってもらうのだ!】
果てしなく姫てゃ!に近い文体だ。
今度はやはぎたんが新しい情報を見つけてきた。
やはぎたん『ダメ元で本名検索したらFacebook見つけた。この女バカだべ、小中高全部書いてある。多分実家豆腐屋』
やはぎたんが貼ったURLには、投稿こそ数年前で止まっているものの、プロフィール欄を覗くと学校名、生年月日、メールアドレスまで書いてある鈴木清江のFacebook。
現在地には豆腐屋が登録されてある。
23歳豆腐屋の娘ということが確定した。
やはぎたん『この豆腐屋グーグルマップで調べた。1階が店舗、2階が住居っぽいな。多分姫てゃ!この2階に住んでるんじゃね?』
だが、ここで1つの疑問が浮かぶ。
きむら『でも、本当に本人?』
そう、違いました。じゃすまされないのだ。特定をしたいすずかの目的は姫てゃ!を脅すことなのだから。
そんなとき、ログを見ていたのだろう、はなみがチャットに参加してきた。
はなみ『豆腐屋だとすると辻褄が合う。理由は2つある』
まず、姫てゃ!と通話をしていて、親フラ〜と姫てゃ!がミュートにする時間が決まって朝3時なこと。
次に、夕方頃通話していたとき、「パープー」と聞こえたこと。いま思えば「とーふー」のあの音だったとはなみは語る。
きむら『豆腐屋の朝は早いってことね。あと、パープーはワロタ』
ぼんれすハム『パープーwwしぬwwヒィwwww』
時代錯誤な豆腐屋のパープー音。
みんなでパープーにツボっていると、Twitter班のワニと弥生も参加してきた。
ワニ『今までスルーしてたけど、過去の自炊ツイート、豆腐ハンバーグとかおから系が多いな』
弥生『姫てゃ!本人はダイエットって言い張りますけどね。それと、豆腐系のアレンジレシピリツイートもやけに多いような』
実家が豆腐屋と仮定するとどんどん辻褄が合う。余った豆腐を食べているに違いない。
初めて姫てゃ!の発言に一貫性が見えた瞬間かもしれない。
弥生『おい、この豆腐屋HPがある!! 開け!!』
全員で豆腐屋のHPを見る。投稿をさかのぼると、そこには……。
新メニュー「びっくり豆腐!」
店主『娘が考えました<( ̄︶ ̄)> 娘の口癖がびっくりした! だからです。びっくりするほど大きいこのお豆腐。これはおいしさ間違いナシ!
この新作の反響にびっくりして、娘ちゃん、早く仕事してくれないかなぁ……なーんて笑
いつかはうちの看板娘です笑』
ぼんれすハム『ヒィwwwwww』
きむら『本人確定wwwwwww』
やはぎたん『あーあ』
弥生『これは間違いないだろ! あいつの口癖、”びっくりした”じゃん!!』
点と点が繋がった。1つの線になった。
きむら『あー笑った』
やはぎたん『でもこれで、』
ぼんれすハム『特定完了』
---------------------
肉まんの枠。今日もすずかはイライラしながら肉まんの枠にいた。
(あー、またこのブスコラボ上がってるよ)
「ねー、今日の姫は何が違うでしょ〜か〜♪ 毎日姫のこと見てる肉まんちゃんとまみゃちゃんなら分かるよねぇ?」
肉まん『さあ』
まみゃ『アイコン』
姫てゃ!は谷間のアイコンに変えていた。
(だっからマジでキショいんだよ、アイコンクイズやめろ!! どーせそのアイコンも無断転載だろ、「谷間」で検索したんだろ!! 全部知ってるんだからな!!)
「もぉ〜みんな照れちゃってぇ! お胸だよぉ! なんか姫まで恥ずかしくなってきちゃうじゃーーん!! じゃ、今日もゲームよろしくねぇ〜、肉まんちゃんとまみゃちゃん、何やるぅ?」
相変わらず、すずかを無視する姫てゃ!。すずかのイラつきは限界にきていた。
そのとき。
ピロン♪
discordの通知音がなった。
ぼんれすハム『特定完了』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます