第8話弥生①

弥生side


『私の出番でございますね』


 そう書き込んだ私、弥生だったが……


『何すればいいの?』


 正直何をするかわかっておらず、こっそりとワニちゃんに連絡をとっていた。

 ワニちゃんの返事はこう。


ワニ『お前のアカウント使って姫てゃ!にTwitter承認されて』


 わからん。何を考えているんだ?


弥生『それワニちゃんのアカウントじゃ駄目なのか……? 私のアカウント経由する必要あります?』


ワニ『ある。これみてみ』


 そう言って送られてきたのは一つのURL。開いてみると、それは姫てゃ!のspoonのプロフィール欄。


【みんな姫てゃ!を愛してね。Twitter→@himehime ……】


「なんだ。Twitterアカウント書いてあるじゃん」


 と、クリックしてみるが、そのアカウントはDM専用なのかフォロー0、フォロワー10で呟きもしていないアカウント。

 こんなのを見つけて姫てゃ!のアカウントを特定したと言ったのか? と、少し怪訝に思いながらワニにメッセージを送る。


弥生『姫てゃ!のTwitter普通に見つけたんだけど、しかも鍵かかってないじゃん。それで私どうすればいいの?』


ワニ『違う違う、本命はこっち^^プロフィールはよく読みましょうね〜^^』


 どういうことだ……?もう一度姫てゃ!のTwitterアカウントをよく見る。すると、プロフィールの下の方に……

【……ちょこスタ垢はこちら→@lovehimesuta】

 

 と、ちょこスタアカウントへの誘導がされていた。

 

(へーこのブスもチョコスタやってるんだ)


 ちょっと親近感が湧いちゃう私。


 ちょこスタというのは、人気ソシャゲだ。ガチャを回し、カードを集め、デッキを作り、バトルをする。

 しかも何よりもいいのは……


 登場人物が全員超! 超! イケメンということだ!


 多種多様なイケメンが美麗なイラストで書かれており、しかも全員ボイスもついている。

 男の私がそんなちょこスタを知ってるのがおかしいって? うるさい! 好きに性別は関係ない! 10年以上は楽しませてもらっている!

 男の私でもキュンキュンしちゃうようなストーリー。眺めるだけで楽しい美麗イラスト。ユーザーを楽しませるため毎月実装されるイベント。最高だ。ちょこスタは最高だ。


 と、ちょこスタのことを考えながら姫てゃ!のちょこスタアカウントをクリック。

 すぐにちょこスタのアプリが起動し、見慣れたログイン画面が飛び込んでくる。そうそう今月は私の推しキャラ姫美也たんのイベントがあるんだ。

 数秒後。自動的に姫てゃ!のプロフィール欄に飛んだ。そこで私は理解する。


「あーこういうことね」


 そこにあったのは


【姫てゃ! ちょこスタ3年目! 誰かカード恵んでぇ〜……Twitterはこちら→@lovehimesuta】


 おそらく本命だろう姫てゃ!のTwitter。

 クリックすると、フォロー53、フォロワー87で鍵がかかっていた。

 ちょうど見計らったようにワニからメッセージが来る。


ワニ『弥生、ちょこスタアカウント持ってたでしょ。そんでさ、確かちょこスタって他人とカードの交換できるじゃん?』

 

 嫌な予感がした。


ワニ『姫カード欲しがってるっぽいし、弥生のレアカードを餌にTwitter交換してよ^^』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る