どういうこと?

 次の日。


「う、わ。寝不足だわ」


 向かいの家が火事になり、しばらくは眠れなかった。

 幸い、火が近隣に燃え移る事はなかったが、全焼する勢いで火が上がっていたので、ずっと明るいままだった。


 少し野次馬をした後に、ようやく眠り、今度こそ朝に起きた。


 起きたのはいいが、瞼が重くて、朝は何もできなかった。


 *


 昼休み中に、オレは中庭の隅で動画を見ていた。


 焼きそばパンを頬張り、あわよくばオレがシコる時のオカズにしようかな、って考えてるのだ。


「はは。やっべぇ」


 色々と疑問に思う事があるけど。

 向かいの家でオナニーをしていたのは、福永に似た子だった。

 サイドテールの髪に、気の強そうな顔つき。


 体型もほっそりして、豆粒みたいな乳首を自分で抓り、腰を震わせていた。電柱の明かりが、ちょうど茂みの隙間から差し込み、股座の光沢を輝かせている。


「つか、コレ福永じゃね?」


 白いパーカーを着ているが、顔がハッキリと見えている。

 赤い柄がついていて、下はスカート。


 蕩けた顔で股の間からは、透明な汁を噴いていた。


 想像したよりも激しい自慰。


「これ、使って脅せば、ヤレんじゃないかな」


 学年一の美少女を性奴隷。

 なんて、下卑たことを考えた。

 動画のシークバーが最後の辺りに達し、欠伸をした。


 その矢先のこと。


 撮影してる画が、少しだけ横にズレた。

 福永っぽい女が壁にもたれ掛かって、地べたに座り込む。

 そのタイミングで、玄関の奥がチラリと見えていたのだ。


「……なにこれ」


 オナニーの余韻に浸る女が、画面の端に映っている。

 だから、丁度真ん中の位置に、開きっぱなしにした玄関の扉が映る。


 扉の向こうは、壁になっていた。

 そして、壁には誰かが座っているのだ。


「チッ。終わっちゃったよ。もう一回」


 オナニーをして、快楽に負けて、壁にもたれ掛かった箇所。

 ズリズリと崩れ落ちたタイミング。


 一時停止をして、玄関の向こうを凝視する。


「………………え?」


 向かいの家に住む、じいさんだった。

 頭からは何かが垂れていて、真っ赤に染まっている。

 グッタリとした様子で、前屈の体勢になっており、シークバーを戻して確認しても、動いている気配がない。


 オレは、その瞬間、頭も心も全部が止まってしまい、意味もなく周りに目を走らせてしまう。


 この非現実的な感覚をオレだけが感じているのか。

 それを確認したかったのかもしれない。


「……ん? どういう……こと?」


 福永っぽい女は、死体をオカズにオナニーをしていた。

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