第700話

 エミリーが好きな事をサラッと言ってしまいましたが…ここは改めてしっかりと伝えるべきですね。


「エミリーにお話があります」

 改めて言うとなると緊張しますねぇ…精神耐性さん、お仕事してください!


「…何ですか?」

 エミリーの方に身体を向けると、エミリーもこちらを向いてますが…身体をキュッと縮こませて緊張している様ですね。

 私も緊張しているし、これでおあいこです。


 いや、どっちが緊張してるかの勝負では無いのですよ!

 …ふう、それでは行きますか!聞いてください、私の告白を!


「初めてこの宿で会った時からエミリーの事が気になっていました。

 それから一緒にダンジョンに行ったり、たくさん話をしてエミリーが優しい子なのも頑張り屋さんなのも知りました。

 そうして色んなエミリーを知る度にどんどん好きになっています。

 これまでの態度で気付いてるとは思いますが、私はエミリーが好きです。恋人として付き合ってもらえませんか?」

 ついに言ってしまいましたよ。


 エミリーは少しうつむいて聞いていましたが、答えはどうでしょうか?

 これで断られたらもっと精神耐性に頑張って貰う事になりますが…


「………はい」

 ふおーーっ!良い返事を頂きましたよっ!


 …エミリーったらずいぶんと溜めてくれましたねぇ。この待ってる間のドキドキで心肺機能が鍛えられそうでしたよ。

 もしかしたら、これでステータスを上げられるかも知れませんねぇ…


「ありがとうございます!」

 隣りに座ったままでエミリーを抱き締めると、エミリーも抱き締め返してきます。


 これは何でしょうか?…これまで何度も抱き締めていたのに、いつもより幸福感マシマシですよ?


「…やってる事はおんなじなのに、何だか恥ずかしいですねぇ」

 エミリーもいつもと違う感じがしてるみたいですねぇ。


「いつもと同じなのに何が違うんでしょうかね?

 …エミリー、これから一緒にダンジョンに行ったり、たくさん話したり、抱き締めあったりしましょうね」

 これから二人の時間を大切にしていきましょう。


「やっぱり、やる事はおんなじですねぇ」

 …言われてみれば、どれもこれまでもやって来た事ですねぇ。


「確かに…それなら、おんなじじゃ無い事もしてみましょうか?」

 せっかく恋人になった事ですし、新しい事に挑戦するのも悪くないですよね?


「おんなじじゃ無い事?」

 ええ、特別な事です。


 首を傾げながら聞いてきたエミリーの目を見つめて、少しずつ顔を近づけていきます。

 エミリーは何をするのか分かったのか、目をつぶって待ってくれています。


「…これは初めてですね」

 エミリーとの初めてのキスはクッキーの味でした。


 これからはエミリーの手作りクッキーを食べる度に、今日という日を思い出すんでしょうね。

 やはりこのクッキーは特別な価値を持ちそうです。


—————————————————

たまには作者の呟き

700話でキリがいいし、ちゅーさせたった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る