第8話

「田中さん、こちら深山さんです。今回地球から連れて来ました」


「初めまして、深山です。よろしくお願いします」

 頭を下げて挨拶です。


「おう、田中だ。話は聞いてる。よろしくな、あんちゃん」

 ツナギを着た男性が手をあげてます。ずいぶんと立派な髭をたくわえてますね。身長低めで横に広いガッシリとした体型だし、もしやドワーフ?


「で、深山さん、こちら開発部の田中さんです。見ての通りドワーフで、今回の武器の作成をお願いする予定です」

 あ、やっぱりドワーフなんですね。お酒好きだったりするんでしょうか?

 というか開発部って何でしょう?ドワーフなのに田中だし…まあ、そこら辺は気にしたら負けですかね。


「はい、皆さん席ついて〜。では、さっそく話し合っていきましょう。深山さんは何か使ってみたい武器なんて決まってたりします?あ、田中さんは心の中も読めないし、僕も深山さんが新しい身体になって読みにくくなってるんで、ちゃんと声に出してくださいね〜」

 そうなんですか?これで変なこと考えてもバレずに済みますね。


「読みにくくなっただけで、読めない訳じゃ無いですからね?気をつけてくださ〜い」

 …はい、気をつけます。


「それで使ってみたい武器でしたね。ん〜、そう言われても武器なんて使ってこなかったですからねぇ。いきなり言われても困っちゃいます」


「それもそうですね〜。普通に実用面で考えたら剣とか槍とかがいいのかなぁ?初心者にロマン武器勧めるのも抵抗ありますし〜」

 ロマン武器ですか…

 ロマン…大事ですよね。男のロマンと言えば裸エプロンとスクール水着だと私は思っていますが、これは異論は認めます。男のロマン同様、男心をくすぐるロマン武器。心惹かれるものがありますね。

 とは言え、いきなり使いこなせるとは思いません。


「ロマン武器って、大鎌とかパイルバンカーとかそんなのですよね?いつかは使ってみたいと思いますが、最初は遠慮したいですね」

 大鎌とか糸とか鞭とか、興味ありますね。パイルバンカーはそれほどですけど。


「最初からロマン武器は無いですよね〜」


「地球に魔物なんて居ねえからなぁ。なぁ、あんちゃん、武器を使った事がねえどころか、持った事すらねえだろ?剣や槍が実用的ってのは俺もそう思うが、そんな武器持っても魔物相手に斬ったり突いたりできんのかい?遠距離からの攻撃も考えといた方がいいぞ?」

 …確かにそうかも。地球では生き物に斬りかかるなんて経験してませんからね。ましてや相手は魔物です。こちらの命を取りにくるのでしょう。身体が新しくなったとは言え、中身が変わった訳ではありません。地球で育った私に、魔物を恐れず斬りかかることが出来るでしょうか…


「さすが田中さん、ナイスアドバイスですよ〜」

 

「…これが仕事だからな」

 田中さん、少し照れてますね。ゴツい見かけの割には可愛いところあるみたいです。


「深山さん、どうですか〜?」


「そうですね。遠距離の方がいいかもしれませんね」

 せっかくです。いい感じに強い遠距離攻撃用武器を所望しますよ。




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