第3話
「神様、そもそも私に声をかけたのは何故ですか?」
はっ、もしや私に隠された才能に気がついて?…こんな私にも神様に選ばれるだけの才能が…
「いや、そんなんじゃ無いですから」
うん、わかってましたよ。ちょっとした冗談です。
「冗談はさておき、何故なんです?」
「それはですね〜、まず条件に合う人を何人かピックアップしました。で、ピックアップした中からランダムに声をかけていく予定なんですよ。深山さんが一人目なので、断られたら次の人に声をかけますよ」
「ほうほう、どんな条件か聞いても?」
「そうですね〜。全部は言えませんが、例えば関東に住んでるとか、身寄りが無いとか、ファンタジーに理解があるとか、マヨネーズが嫌いとか…」
ん?マヨネーズ?
「嫌なんですよね〜、僕の管理する世界でマヨネーズ広められるの。せっかく存在しないのにわざわざ開発しないで欲しい」
ちょっとむくれてますね。神様と言っても人間ぽいです。
でも分かります。私も常々思っていました。異世界テンプレでマヨネーズ開発して大儲けなんてシーンを見る度に。
誰もがマヨネーズ好きだと思わないで欲しいと。
「神様…」
「深山さん…」
「「同志‼︎」」
私と神様は手を取り頷き合うのでした。
しかし不思議ですね。普通に考えれば胡散臭い話なのに異世界行きを前向きに考えている自分が居ます。どうせ夢だからと現実的な思考のブロックが外れているのでしょうか?ブロックが外れた結果、無意識に考えてる事に思考が誘導されている?とすると私は無意識に生まれ変わりたいとでも思ってるのでしょうか?
ああ、そうかも知れませんね…、私は生まれ変わりたかったんですね…
「…夢の中で声をかけるのはアンフェアだったかも知れないなぁ。ちゃんと現実的に考えられる状態で声を掛ければ…」
気に掛けてくれるんですね。どうやら神様は優しい方みたいです。
「今更ですけど、私が受け入れたら本当に異世界に行けてしまうんですかね?」
「行けます」
「その時は、この世界での私の存在ってどうなるのでしょう?」
「深山さんは存在しなかったことになります。地球の神様と協力して徹底的に痕跡を消します」
そんな事も出来るんですね。ちょっと寂しい気もしますが、異世界に行くのならその方がスッキリ行けるかも。
「戻って来ることは出来ますか?」
「まず無理だと思っておいてください」
片道切符というやつですね。
さあ、考えましょう。
夢から覚めた時、いつものベッドで目覚めるのか?異世界で目覚めるのか?
どっちがワクワクするでしょう?
現実的に出来るかどうかは取り敢えず置いておきましょう。ただ心の奥で望んでいるのはどちらなのか…
考えるまでもありませんでしたね。
「異世界…興味ありません?」
そう聞かれた時からずっとワクワクしてましたから。
「神様、異世界に連れて行ってください」
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