ねぎらってやれって言ったから
※曽根崎が景清をねぎらう話です。バレンタインデー企画。
阿蘇「お前さ、たまには景清君をねぎらってやったら?」
曽根崎「ねぎらう……?」
阿蘇「おう。飯作ってもらったり掃除してもらったり、色々気にかけてもらってんだ。少しは返してやれよ」
曽根崎「しかし、彼から給与への不満が出たことはないが」
阿蘇「そこじゃねぇって。何かあげるとか、外食連れてってやるとかだ」
曽根崎「ふむ……」
景清「だからこのふっかふかの手編みのセーターを作ったんですか!? ひと月で!!?」
曽根崎「不眠症だから夜のいい共になった」
景清「ええ……」
曽根崎「試しに着てみろ」
景清「うわっ、アンタの目の前で? 別にいいけど……」
曽根崎「創作者はえてして生の感想を聞きたいもんだ。忠助だって、育てた筋肉見せびらかしてきたりするだろ?」
景清「されたことありませんが。あの人実の兄にはそんなことするんですか?」
曽根崎「いや別に」
景清「無意味な風評やめてください」
曽根崎「いいから着てみろって」
景清「絶対あとで阿蘇さんにチクってやる。……ん? おおー」
曽根崎「どうだ?」
景清「結構細かく編んでくれてるんですね。それに全然ザラザラチクチクしない。いい毛糸使ってくれたんですか? 手触りいいし、なんなら普段僕が着てるセーターより質がよさそう」
曽根崎「ふふん、そうだろ」
景清「ただ……」
景清「サイズがクソでっけぇなっていう……」
曽根崎「君の服のサイズ知らなかったから……」
景清「いやいや、それにしたって大きすぎでしょう。袖とかこれ象の鼻みたいになってますよ、コレ」
曽根崎「萌え袖ってやつだな」
景清「また変な言葉使ってる。曽根崎さんの体に合わせて編んだんですか?」
曽根崎「そうでもないよ。大は小を兼ねるなと考えつつ、どんどん伸びる袖にテンション上がっていった結果こうなった」
景清「伸ばしたのはアンタだ、アンタ。えー……まあいいや。曽根崎さんも着てみてくださいよ」
曽根崎「なんで私が」
景清「だって僕には大きすぎますし」
曽根崎「私にだって合うかわからんぞ」
景清「シャツの上からでいいんで」
曽根崎「それが普通だ。セーターは素肌に着るものじゃない」
曽根崎「……」(着てみた)
景清「曽根崎さんが……萌え袖になってる……」
曽根崎「不思議な屈辱」
景清「曽根崎慎司の貴重な萌え袖シーン」
曽根崎「人の萌え袖を海亀の産卵みたいに言うな」
景清「でもアンタにしては無計画に編んだんですね。っていうか、セーターって行き当たりばったりに編めるもんなんです?」
曽根崎「慣れてくればそれなりに」
景清「右袖と左袖の長さは同じなのに……。シンプルに長さだけが惜しいですね」
曽根崎「頑張って袖捲りすれば、一応手は出るが」
景清「手首あたりが蛇腹みたいになりますよ」
曽根崎「もしくはプロデューサー巻きにする」
景清「袖の長さのせいでもはやマフラーなんですって」
景清「でも……お気持ちは嬉しいです。ありがとうございます。このセーター、本当に貰っていいんですか?」
曽根崎「ああ、勿論さ。君のために編んだんだ」
景清「その割にサイズガン無視でしたけど……」
曽根崎「君の腕、二メートルぐらいなかったっけ?」
景清「僕のことラピ○タのロボット兵だと思ってません?」
曽根崎「まあなんにでも使ってくれ。着てもいいし、クッションカバーにしてもいい。一応吸水性もあるから、雑巾にしても……」
景清「いえ、そんなことしませんよ。せっかく作ってくれたんです。変な用途には使いません」
曽根崎「……そうか」
景清「ひざ掛けにします。袖のとこ使って腰に巻くんです」
曽根崎「ちゃんといい着地点を模索してくれてありがとう」
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