天才ってやつは

ここ最近すっかり秋になり精神的にも体調的にも落ち着いてきた。休暇期間中のどうしようもない焦燥感や堕落っぷりはまだ抜けていないが、しんどくなることや死にたくなることは随分減った。休暇と言われるとどう休んでいいのか分からないのにいざやりだすと何もやる気が出ない不思議。何もできてないと言うだけで焦燥感や無力感に苛まれて嫌になる。

私が類を見ない天才だとしても、才能を持つことは苦しいことだ。目が眩むくらいの輝かしい可能性を持ちながらそれを凌駕する波瀾万丈の人生だ。持ちうる輝きと降りかかる艱難辛苦は比例する。私の不幸や苦しみは天才の中では少ない方だ。才能の一つに豪運があるのがとても大きい。正直親ガチャ以外全て「当たり」である。それでも私から見る世界は艱難辛苦が転がっている。

凡人の皆様方に知って欲しいのは天才は最初から天才だが、天才だからと言って最初から何でもかんでもできるわけではない。正直レベル99の凡人とレベル1の天才だったら普通に凡人の方が強い。ちゃんとレベリングをしなければ天才だってただの人なのだ。才能ってやつはない人間からは凄まじい輝きに見えるかもしれんが持つものからすればそれなりにしんどい物である。正直私は普通になりたかった側だ。どうしようもなく普通の人が羨ましかった。狂人になれたら凡人でも天才とも渡り合えるが、狂うことで失うものはあるし天才を超えることはできない。それでも狂うほどの思いを抱ける人が狂人と成るんだろう。

全人類の幸福を願っていながら、天才、狂人成り得なかった人へ向ける寂しさは我ながら自分勝手だと思う。天才が天才らしく幸福を掴める世界になればいいと思う。幸福を願う全ての人が幸せになればいい。

全人類の幸福なんて叶うはずがない。でも可能性はゼロじゃないし、本気で私はそれを実現しようとしている。その頭のネジが最初からないのも、天才たる所以だなと思う。

天才であることがアイデンティティになりだしてしばらく経ったが、天才だからといって電車の運賃は安くならないし、雨で靴はぐちょぐちょにもなる。天才と知れたことで得た情報で一番役に経ったのは人間関係での失敗が才能によるオーバーキルによるものだったと言うことくらいか。

いくら成長してもそれが誰かの役に立ってる感覚が一切ない。いずれ役に立つ、いずれ多くの人に認められる、確定事項だがいつそうなるのか分からない「いずれ」だらけだ。大器晩成なのだと思うようにしている。

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