脆弱性

星の数ほどある私の弱点の中で大抵のものは強運によって生命の危機は回避できる。ただ一つだけ私の命を危険に晒し続けているものがある。器の脆弱さである。

私の器は弱い。成長した反動で倒れ、誰かが何気なく言った当たり前で傷つき、愛情不足で簡単に病む。才能には振り回され、元気に活動したと思ったら情報力の多さに溺れる。健康な肉体の足を引っ張っているきらいすらある

私の器の脆弱さの理由の七割は家庭環境である。私は私自身よりも私の世界観や才能を守った。そのために自己肯定感を使ってしまった。親や兄弟や学校やたくさんの苦痛から私は自分の才能を守ることを選んだ。おかげで私の器は育てる暇もないまま傷だらけになった。彼氏からの愛情でかろうじて形を保っている。私を傷つけてきた全てに対して恨んではないが、ちゃんと育ててくれてたらとは思う。普通のやり方でも良かったから、傷つけないで欲しかった。愛して欲しかった。

小説を書くのをやめなかった。本を読むのをやめなかった。空想も綺麗なものを見て心動かされるのも美術の授業が大好きだったことも。誰かの違和感を見てもやめなかった。その少しずつの守ってきたものが今の私の才能となっている。

才能の大きさとしては私はせいぜい中の下である。基本として天才の才能の源は望む力である。そう、私は望んでしまった。私が私らしく認められる世界を。成長を望んでしまった。身の丈に合わないものを望んでしまったからこうして才能に振り回されているのかもしれない。だからと言って普通に戻るには望み過ぎてしまった。

普通では絶対に手に届かない願いをしてしまった。もう特異点は過ぎている。どんなにのたうち回っても望み続けるしかないのだ。

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