第7話 朝の図書館 / 冰馬のステータス
翌朝、僕はいつもより早く起きて、足早に図書館へ向かった。7時30分頃から8時30分の間が朝食なので、7時くらいに起きればいいのだが、あと6日後に追放されて平民として生きるのならそうはいかない。こんな贅沢な暮らしはできないし、朝早くから起きて準備しないといけないだろうから。
僕は図書館に着いて、一つの本棚の前にたった。昨日司書さんにこの世界について書かれている本はどこかと聞いて、教えてもらったのがこの本棚だった。
この世界でのポピュラーな昔話から、この世界の職業のことまで、端から端までざっと100冊。それが5段あるから合計で500冊。
それを6日で読まないといけない。
これは無理だろと思いつつ、1番左上の本から読んでいくことにした。
この世界の本では挿絵が多く、結構読みやすかった。1時間ほど経って僕が3冊目の本を手にした。長らく読まれていないのか、本の上側が埃をかぶっている。最初のページを開こうとしたその時、、あの時の光よりずっと弱い光が本から溢れ出した。
「なっなんだこれ」
光が収まると、手にしていた本はなく、代わりに僕の体が薄く光っていた。10秒ほどしてその光は消えたが、もしかしたら呪いの本だったのではないかと思い、慌ててステータスを開く。
『ステータスオープン』
名田秀真:Lv.1 属性:無属性
HP:30 耐久:30
MP:30 俊敏:30
回復:30 攻撃:30
スキル:適応力上昇(7) 言語理解(10)
成長率上昇(5)
「成長率上昇?」
聞いたこともないスキルがステータスに増えている。字面から考えるに、レベルやスキルの上達が早くなるのだろうか?
新しいスキルについて考えを巡らせているといつのまにか、朝食まで残り15分となってしまった。この王宮は広いので食堂まで10分ほどかかってしまう。本を片付けて早足で食堂に向かう。
食堂に着くと、氷馬を探す。
20人くらいの生徒がすでに食べ始めていた。
おはようと声をかけてくれる人もいるが、
大半は無視だった。
冰馬を見つけたので向かいの席にすわり話をする。
「なぁ秀真」
「なに?」
「朝ごはん食べ終わったら、お前の部屋行っていいか?」
「なんで?」
「お互いのステータスを確認したくてな」
「いいよ」
僕たちは朝食を食べ終わったあと、僕の部屋に行き、鍵をかける。
「じゃあ俺のステータスからいくか」
『ステータスオープン』
青井冰馬:Lv.1 属性:氷属性
HP:20 耐久:20
MP:20 俊敏:20
回復:20 攻撃:20
スキル:適応力上昇(7)言語理解(7)
氷魔法(1)
「あれ?僕と違うところがあるな」
「何?」
『ステータスオープン』
名田秀真:Lv.1 属性:無属性
HP:30 耐久:30
MP:30 俊敏:30
回復:30 攻撃:30
スキル:適応力上昇(7) 言語理解(10)
成長率上昇(5)
「ほんとだな。俺よりステータスが高いし、言語理解のレベルも高い。成長率上昇ってのはなんだ?」
「わかんない。今日の朝、図書館で本を読んでたら、本がいきなり光って増えてたんだ」
「その本は今もあるのか?」
「もうないよ。光が収まったら消えてたんだ。」
そんな話をしていたら、いつの間にか8時30分になろうとしていた。
「やばい」
「授業に遅れる。」
僕たちは慌てて授業のある講義室に向かった。
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スキルの強さを(小中大極)表記から(Lv)表記に変更しました。
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