第6話 みんなの違和感。

「やめなよ。風磨、名田くんも困っているだろう。」


そう言って伊藤くんを止めたのは、西条くんだ。


「俺は何も悪いことしてないぜ。異世界に来てハズレの能力を引いて、そのせいで追放される秀真くんに今のお気持ちを聞いてただけだぜ。」

「だからそれが悪いと言っているんだ。名田くんだっていきなり言われて戸惑っているだろう。第一、そんなことをわざわざ本人に聞くのは間違ってるだろう。」


西条くんと伊藤くんが言い争う。


「でもよー、みんなだって気になってるよなー。名田くんがこれからどうなるのかってことが。」

「それはそうかもしれないが、こんな大勢がいるところで話すのは失礼だ。」


言い争うが激しくなって来たところで先生がとめにはいる。


「2人ともやめるんだ。いまは、みんなでまとまるべきだろう。喧嘩をしている場合ではないことはわかることだろう。」


「チッ」「わかりました。」


「あーあ。しらけたわ。」


そう言って伊藤くんは食堂から出ていく。


「待て伊藤。お前どこいくんだ。」

「自分の部屋に戻るだけだよ。」


伊藤くんが食堂から出て行って、食堂は静寂に包まれた。だが、多くのクラスメートの視線が僕に集まっているのを感じる。今の一連のやり取りから、クラスメートの僕への何かが変わった気がする。居心地の悪い雰囲気の中、西条くんがぼくに話しかけて来た。


「大丈夫だったか?」

「うん。ありがとう。」

「どうってことないよ。それよりも、また風磨がちょっかいをかけて来たら言ってくれ。僕から注意しておくから。一週間の間だけだけと、困ったことがあったら助けるなるよ」

「わかった。」


西条くんとの話は終わったが、僕は今の会話に違和感を感じだが、何かわからなかった。


ご飯を食べ終わったあとあと、午前中は、クラス全員に対して、この世界とこの国についての歴史や、貨幣制度などの常識についての授業があった。大まかに学んだことは、


・魔王が前回現れたのは、およそ300年前。

 その時も、異世界人を召喚し、魔王を倒した。


・今、人の領域には、大きなふたつの国があり、一つはオーマ帝国。もう一つはカルガラ聖教国だ。カルガラ聖教国は国教であるカルガラ教ヲ信仰しているが、オーマ帝国はに国教がないため、いまいち団結できていない。


・ドワーフやエルフの国もあるが、ふたつの大国に比べると、だいぶ小さい。険悪というほどではないが人とは仲が悪く国交は開いていない。


・この国の通貨は金、銀、銅、鉄でできており、鉄貨→10円 大鉄貨→50円

銅貨→100円 大銅貨→500円

銀貨→1000円 大銀貨→5000円

金貨→10000円 大金貨→100000円

という感じだ。これは追放されてから大事になってくるので、しっかりと覚えておきたい。



本格的な魔法や剣の授業は明日からということだった。

午後は自由時間となってみんなそれぞれ友人の部屋に行ったりしていた。だが僕には余裕がない。そこらへんにいた侍女さんに声をかけて、王宮の図書室まで案内してもらう。

そこにはたくさんの本があり、僕は追放されるまでの間にできるだけ多い数の本を読もうと決めた。

日がくれたころ、図書館から戻っている途中に皇女様とすれ違う。


僕の方から挨拶をするが、皇女様は軽く会釈をするだけで去って行った。








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