第5話 異世界での初めての夜
皇女様からの話が終わったあと、僕は誰にも会わず、割り当てられた部屋に戻った。
部屋に入ったとたん、僕はベットに倒れ込み、毛布にくるまる。
「はぁ。どうして僕が。」
思い出すのは皇女様からの話だ。自分の能力がハズレであると知り、さらにそのせいで右も左もわからないこの世界にほっぽり出されることになってしまった。
「どうして僕なんだ。他のみんなにはちゃんとした属性があるのになんで僕だけ。」
思わず口から愚痴が飛び出す。
「これからどうやって生きていけばいいっていうんだ。」
これからの、日本とは違う衣食住が約束されていない中での生活。
魔王との戦いには参加できないのに、みんなが魔王に勝った時に僕は日本に帰ることができるのか。
冰馬や橙華さんにはどうやって伝えればいいのか。
「なんで僕だけ、、、」
僕の弱々しい呟きは誰にも聞こえることなく、夜の闇の中へ消えて行った。
行く先の見えない生活について僕は不安でいっぱいで毛布にくるまった。
何時間か経ったあと、僕はいつのまにか眠っていた。
翌朝
昨日の夜、寝る前に考えすぎたせいかあまり寝ることができず、少し遅い時間に起きてしまった。昨日は制服のままベットに潜り込んでしまったので、クローゼットに入っていた服に着替えて、みんなが朝ごはんを食べているはずの食堂に向かう。向かう途中、僕はどうやって冰馬や橙華さんに昨日の話を伝えるか考えていた。途中で皇女様とすれ違う。
「おはようございます。」
僕は挨拶をするが、皇女様は会釈をするだけですれ違っていった。様子がおかしいと思うが気に留めるだけだった。
そして食堂について、朝ごはんを食べている冰馬を見つけてその向かいの席に向かう。だが、僕が食堂に入った時、多くのクラスメートが僕の方を見て、すぐに小声で話し始める。まさかと思うが、席について冰馬に聞いてみる。
「みんななんかあったのか?」
「いやむしろあるのはお前の方だよ。今さっき、皇女様が来て、お前の属性と処遇について話していったんだ。」
「は?」
やっぱりだ。
「お前これからどうすんの?」
「えっ、いやまだよくわからないけど。」
冰馬と話していると、誰かが僕たちにニヤニヤしながら近づいてきた。
「あっれれー?無属性で追放される秀真くんジャーン。」
そう言ってきたのは、チャラチャラしていてで女子からの人気がなく、問題児でもある
伊藤 風磨だ。
「皇女様に追放って言われてどうだった?
これからどうやってそのハズレの無属性で生きていくのかなー?ねぇねぇおしえてよ。」
ニヤニヤしながらそんなことを言ってきた。
「いや、僕もまだ受け止められていないんだ。そんなのよくわからないよ、、、」
伊藤に圧をかけられて段々と超えてが尻すぼみになっていく。だが、ここで助け舟が現れた。
「やめなよ。風磨、名田くんも困っているだろう。」
そう言ったのは西条だった。
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新しい登場人物
伊藤 風磨(男)(風属性)
他人の不幸は蜜の味を地で行く男。チャラチャラしていて、日本にいた頃は、ガラの悪いやつらと付き合いがあると噂になっていた。
問題児
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