第13話

「「魔女様、森を通る許可をいただきたい!」」


 この声は森と私達の家をグラグラ揺れ動かす。

 私はボアさんに「どうする?」と目線を送ると、彼女は「いいわよ」と、親指を立てたので。


 外に出て、森に向かって声をあげた。


「どうぞ、いらしてください。一緒に朝食を食べましょう!」


 すぐに。


「ありがとう、おじゃまする」


「おじゃましますっす!」

「おじゃまいたします」


 森を挟んで会話をするなんて、面白すぎる。

 いまから来る、獣人の王子と従者か……


「そうだ、彼らの分の朝食も作ろう」


 ウキウキとキッチンに戻り、ボアさんとお腹を空かせたキキ達には先に食べてもらって。私はお客様用のベーコンエッグを作りながらボアさんに、昨夜、開けてしまった扉について聞いてみた。


「ねぇ、ボアさん、昨日の扉って何だったのですか?」


「あぁ、あれはね。魔女と魔法使いが使用できる"魔法の扉“だって、シシリは言っていたわ。扉の前で行きたい所を告げると、その場所に着くんですって」


 魔法の扉?


「まだマージアさんの魔力が安定していないから、勝手に繋がったのね」


「そうだったんですね。いきなり知らない所に出て、黒猫さんに出会い驚きました」


「フフ、彼らは見た目ほど怖くないから安心してね」

「はい」


 

 ベーコンエッグが焼き上がり、スープとサラダはまだあるからいいかな。カーンカーン――玄関のドアノッカーが鳴る。「はーい」と、返事を返して玄関に迎えにいった。


 扉の向こうから「言うぞ」と、バリトンボイスが聞こえて「はい!」「頑張って!」と明るい声が聞こえてきた。


「お、おはようございます、魔女様。私は獣人の国の第3王子レオンともうします」


「おはようございます。僕達はレオン様の従者のスズと!」


「トッポです」


 扉越しに自己紹介をしてもらった。

 私はドキドキしなが扉を開けて、着ぐるみパジャマを掴みカーテシーをした。


「レオン様、スズ様、トッポ様、今度魔女になりました、マジーアと言います。このような格好でごめんなさい」


 彼らに向けて微笑んだ。

 

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