第10話
「だから、シシリがここを出ると言ったとき、誰も止めれなかった。彼女にはたくさん助けられたから……みんなで話し合って笑顔で送り出したわ」
「そんなすごい魔女さんの後継者が……私なんかで、いいのかな?」
「フフ、いいに決まっているじゃない。シシリが作り上げた、あの本に選ばれた魔女さんだもの……来てくれて嬉しい」
ボアさんに抱きつかれた。
誰がに必要とされているなんて、頑張れちゃうよ!
❀
話の後、ボアさんもお昼寝しますと、この家の客間に入って行った。変な遠慮せず使用してくれて、嬉しい。
さてさて、時刻は夕暮れ時。
夕飯をどうすると悩む。
魔女さんのキッチンには塩、コショウといった調味料がそろっている。アイテムボックスに入れて持ってきた、ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、ソーセージを使って、塩ポトフを作って。
これまた持ってきたパンを、フライパンでこんがり焼こう。お鍋がないかなと探すと、収納棚の中に、ポトフ作りに良さそうな深鍋を見つけた。
「よし、はじめるぞ!」
野菜の皮剥きをして、塩コショウを振り深鍋で約1時間くらい煮込む。ジャガイモの皮とにんじんの皮はよく洗って、乾燥させ。油でカリカリに揚げて、塩をふればオヤツになる。
食後のデザートに卵、牛乳、お砂糖で作る、蒸しプリン。ポトフを煮込み、フライパンに水をはってプリンを蒸した。
「いい匂い、マージアさんもシシリに負けず、料理上手」
「料理が上手いか、どうかは分かりませんが。好きです」
ポトフ、パンも焼き上がって、プリンも蒸しあがった。
キッチンに集まり「いただきます」と、夕飯が始まった。
「ポトフ、美味しい」
「美味しいです」
「うま、うま」
「ほんと美味しいわ。プリンも美味しい」
キキ、スイ、メラ、ボアさんとテーブルを囲み……気付けば、ポトフが空っぽだった。
❀
可愛い猫足バスタブのお風呂を、数人入れるくらいに広くなるよう想像した。どうかなっと、お風呂場に覗きに行くと……広くなった猫足バスタブ。
「おお、これならみんなで入れる!」
一緒に覗きにきたボアさん、キキ達は大喜び。
みんなで、一緒にお風呂に入る。まだ、石鹸などは用意していないから、近くの村か街で買えばいいか。
お風呂上がり、アイテムボックスからパジャマを取り出すと、キキが寄ってきて「面白いもの見せてあげる」と、私を寝室へと連れて行く。
「面白いものってなに?」
「マージアちゃん、この衣装の本を手に取って」
髪型のように私の好きなパジャマが着れると言った……え、私のパジャマそんなにダサかった? と、みんなを見ると、キキ達とボアさんはお揃いのフワフワで、オシャレなナイトパジャマを着ていた。
(……お揃い、うらやましい)
「さあ、願って」
衣装の本に載っているパジャマ……大人が着るパジャマしかない。ここから選ぶって……嫌だな。そうだ、私が前世で気に入っていた。ライオンの着ぐるみパジャマにしよっと。
後ろの真っ白なページに、ライオンの着ぐるみパジャマが載る。そのページをみんな覗き込んだ。
「これがパジャマ?」
「面白いです」
「うん、うん」
「そのページに触れて、着てみてください」
「触れるの?」
ボアさんの言うとおりに、ライオンの着ぐるみパジャマが載ったページに触れた。本がピカッと光り、目の前に等身大に光る、着ぐるみパジャマが載るカードが現れる。
「マージアちゃん、そのカードをくぐって!」
「う、うん」
ボアさんに言われた通りにカードをくぐると、着ていたワンピース姿から一瞬で、ライオンの着ぐるみパジャマに変る。着ていたワンピースはフワフワ浮いて、クローゼットが勝手に開き、勝手にしまわれた。
……凄いんだけど、少し怖い?
クローゼットを見ていた私に、キキ、スイ、メラが飛び付き、着ぐるみパジャマを着たいと言った。それにボアさんも反応する。
「ズルい、私も着たい」
「では、みんなでお揃いにしましょう!」
お揃いのパジャマを着込んで、この日は夜遅くまで喋り、みんな一緒のベッドで眠る。
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