第6話

「マージアちゃん、この髪型の本を取って」


 キキの言う通りに本棚の本を取った。この髪型の本はヘアー雑誌の様に様々な中世の髪型が数ページ載っていて、後ろのページは真っ白だった。


 もしかして、私のなりたい髪型になれるとか?


「本の、真っ白なページにはマージア様が思い描いた、髪型が載り、長さも自由自在です」


「ほんと! 想像してみる」


 いま載っている中世風の髪型はないから、お団子、ポニーテール、ボブカット、ショート……一度はなったみたいアフロ。いろんな髪型を想像して願うと、真っ白なページに、私の思い描いた髪型が現れていった。


「これは凄いわ」


「おお、わたちはこのお団子が好きだなぁ」

「お団子? 食べたい!」


 彼女達は私が想像した髪型のページを覗く、見た事がない髪型ばかりで驚いているみたいだ。その中で私はポニーテールを選んだ。この髪型は不器用な自分1人では出来ないから。


 ポニーテールがいいです、そう願うと。突然、キキが緑にきらめき風魔法で私の髪を持ち上げて、一瞬で髪型を私が願ったポニーテールに完成させた。


「ふうっ、マージアちゃんどう?」

「素敵! キキ、ありがとう可愛い」


「可愛いです」

「かわい、かわい!」


 私には出来ないポニーテールが、あっという間に出来てしまうなんて。これなら朝のセットも一発で出来るから楽チンだ。長い髪が飽きたらボブカット、ショートにしてもいい。


 服装とお化粧の本も同じ、ドレス、ワンピース、他は真っ白でお化粧の本も同じ。でも、お化粧はしなくていいかな。


「寝室で、部屋の案内も終わりだよね。お腹も空いてきたし、何か作る?」


「「やった!」」

「すいた、すいた!」


 みんなでキッチンに移動した。この家のキッチンはレンガ調の可愛く、カマドではなく赤い石が埋め込まれた、二口のコンロ。あとは流し台、銅製のフライパン、お鍋、キッチン器具まで完備されていた。ここに住んでいた、大魔女さんは料理が好きだったみたい。

 

「さて、何を作ろうかな?」


 袖をまくり流し台の前で見回していると、スイが「ここを触ると水か出るよ」と教えてもらい手を洗う。


 これはトイレと同じ仕組みかな?


 次にアイテムボックスを開く。空間に歪ができて、そこに手を入れると物が取れる。中には屋敷の食糧庫から小麦粉、パスタ、バター、卵などといった食料をたんまり持ってきた。


 このアイテムボックスは優れもので、収納中の食べ物は永久に腐らない。まあ、一応不安だったので試しに1ヶ月くらい卵とお肉を収納して取り出し、調理して食べてみたけどお腹をこわさなかった。


 よし、今からパンケーキを作ろう。


 材料をアイテムボックスから取り出して、ボールを取り、フライパンをコンロに置いた。


 

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