第4話

 パラパラとめくれる本は、あるページで止まる。

 そこには白黒で劇画タッチの、3人の女の子の絵が描かれていた。


 今話しかけてきたのは、この子達?


 再び本が光を放つと。私の目の前に透明な四枚の羽が生え、ふわふわしたワンピースを着た、手のひらサイズの女の子達が飛んでいた。


 可愛い、この子達は妖精かな?

 それとも精霊?


 良く観察すると。3人とも真っ白なワンピースと花を髪に着けて、お揃いのツインテールの髪型で髪の色が異なっていた。


 1人目は瞳がパッチリ、活発そうな緑髪と緑の羽。

 2人目はキリリとした瞳、清楚な青髪と青い羽。

 3人目は少しポッチャリ、のんびりやな見た目の赤髪と赤い羽。


 この本に描かれていた、女の子?

 その中の緑色の髪の女の子がふわふわ、私のところに飛んできてペコっとお辞儀した。


「こんにちは。この家の鍵を開け時を戻した、あなたは新しい魔女様ですか?」


 と、大きな瞳を輝かせた。

 

「は、はい。数ヶ月前に一応かな? 魔女になったマージアと言います。よろしくお願いします」


 そう伝えると、彼女たちは「やった!」と喜び。


「「わぁ、大魔女様が話していた通り……新しい、ご主人様が来てくれた!!」」


「きた」


 彼女たちは大喜びで、クルクル私の周りを飛び回り、花が咲いたように笑った。


「マージアちゃん、よろしく!」

「マージア様、よろしくお願いします」

「マージア、任せた」


 ほぉ……この子達は一人、一人性格が違うみたい。

 



 ❀




 次に彼女達は「私達に名前を付けて」と、飛び周る。


「名前? 私があなた達に名前を付けていいの?」

  

 そう聞き返した私に頷き。

 青い髪の女の子が教えてくれた。


「前のご主人様でした緑の大魔女、シシリ様がここを去る前『新しくきた魔女に新しく名前を付けてもらい』『魔女と仲良くしなさい』と言ってくださいました」


 緑の大魔女シシリ様――私に力を授けた魔女。


「ズッと待ってた。わたち、マージアちゃんと仲良くしたい」

 

「私も、マージア様と仲良くしたいです」

 

「マージア、仲良く! 仲良く!」


 私もこの子達と仲良くしたい。


「今、名前を考えるから待っていてね」

 

「「はい!」」

「うん」

 

 しばらく考えて。


「決めたわ! 緑髪のあなたはキキ。青髪のあなたはスイ。赤髪のあなたはメラ――なんてどう?」


 彼女達は名前をもらい、フルフル体を揺らして。


「風の精霊、キキ! よろしく!」

「水の精霊、スイ! よろしくお願いします」

「火の精霊、メラ! お腹空いた」


 私が付けた、名前を気に入ってくれたみたい。

 そして、タイトルがない革張りの本に『新米魔女マージアと愉快な仲間キキ、スイ、メラの本』と、タイトルが付いていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る