3-2

時方は、金庫の前に陣取ると、

二人に説明し始めた。


時方「三津夫君、君は、『ししおどし』と

聞いて、真っ先に、何を思い浮かべるかな?」


三津夫「そりゃあ、『ししおどし』だから、

普通は、『獅子』つまり、ライオンじゃ

ありませんか?」


数九子「三津夫さん、『ししおどし』の

『しし』は、獅子ではなく、鹿って書くはず

ではないですか?」


時方「数九子さん、確かに、あなたの言うことは正しい。しかし、この暗号に関して言えば、

三津夫君の方が、正しいと思われる。

なぜならば、『鹿』が正しいとすると、

推理が破綻してしまうからだ」


時方は、二人に、金庫のくぼみを指差して

言った。


時方「まず、この二つのくぼみに入る文字を

考えて見よう」


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