追憶の鳥籠
口惜しや
第1話
覚えてるかな、あのとき僕の手を引いてくれたよね。
あのときの仲良く肩を寄せ合った写真を見るたびに写真の中の自分に嫉妬しちゃうよ、君のことが忘れられないし愛が冷めないんだ。
キミはあれからいろんな特別な人と特別な思い出を作ったから僕との思い出は記憶に残ってないかな。
でも僕にとってはずっと大好きな人はキミしかいないんだ。
キミにとって僕は数ある中の一人だったのかもしれないね、でも僕にはキミしかいなかったんだ。
キミがいろんな人にフラれたことをストーリーで確認して喜ぶようじゃ独りよがりかな。こんな僕とは対象的にキミは寄り添ってくれたよね。あんまり感情を表に出さない僕が一人ぼっちで苦しんでるときにキミがすごく早く気がついて僕に寄り添ってくれたんだ、それにどれだけ救われたか、知らなかったでしょ?。
あのとき二人は付き合ってるのって聞かれたときに恥ずかしくてそんなんじゃないって僕は強がっちゃってたよね、そのときに少し悲しそうな顔をしてたのを僕は気付いてたよ、謝りたいんだ、本当はあの時僕は嬉しかったんだ。
あのときにそのままそうだって言ってしまえていたらこんな気持ちにはならなかったと思う。
やっぱり僕はキミに手を引っぱってもらわなくちゃ駄目みたいなんだ、今だって何も変わってないよ。
どれだけ離ればなれになっても僕はキミのために祈ってたんだ、でも祈るなら僕がキミの元に戻れるように祈るべきだったよね、そんなこともできないほどにキミのいない僕は何もできやしなかったんだ、そもそも手放すべきじゃなかったんだね。
僕はキミにこうして思いが伝えられることができなかったんだ、そのままキミと僕は一歩踏み出せずに友達として学校を卒業、疎遠になったよね。それからすぐにキミはいろんな人とお付き合いをしたね、そのときに僕はずっとキミを縛り付けていたのかなって思って勝手に迷惑を掛けた気でいたんだ。だから僕のことを忘れてくれるように、キミのことを僕が忘れるように
連絡を断ってたんだ、キミはどうだったか、どれだけの効果があったかはわからないけど僕は到底忘れることができなかったよ。
そんな独りよがりが祟ったのかな、僕は自分が嫌になって道を違えちゃったんだ、そんなときに僕が一番避けていたことが起きたんだ。
まさかあんなに社会に打ちのめされた僕をキミが見つけるなんてね、ずっとキミの前でカッコつけてたのにあられもない姿を見せちゃったね、それにその時は僕がキミに合うことはキミのためにも僕のためにも避けなくちゃいけないことだと思ってたから絶望したんだ。
でもキミはやっぱり変わってなかったんだね。そんなロクデナシの僕を見捨てられなくて再び、久しぶりに手を差し伸ばしてくれたね。
いくら時間が経ったっていつかキミが助けてくれた時となにも変わってなかったね。
僕は年甲斐もなくキミに泣きついたよね、迷惑だったかな?
そのとき僕はどれだけキミに救われたか、僕はキミに救われてばかりだね。でもその時張り詰めてたものが無くなったんだ、もうどうなってもいいからキミと居たくなっちゃったんだ、キミのことなんて少しも考えずに僕は僕の気持ちに答えることにしたんだ。僕もたくさん頑張ってみたんだ、でもやっぱりキミがいないとダメみたいなんだ。
でもそれもこれももう過去のことなんだ。もうキミはとっくに僕にあったことなんて忘れてるよね。
こんな僕が今さら動いても遅いしキミにとって迷惑になっちゃうよね。
キミがくれた僕にとって初めてのあたたかさもキミに返すべきなんだけどできないみたいだね。キミが僕のことを追いかけてくれてたのに今度は僕が必死になって追いかけてたらスマートじゃないでしょ?
だからこうして思いを伝えるのはこれを最後にするね。これ以上はキミに迷惑がかかるでしょ?、キミの嫌がることはしたくないからさ、僕がイヤなら正直に言ってほしいんだ、じゃないともう引き返せないからさ。
それじゃあ最後にキミに伝えるからイヤならイヤって言ってくれていいからね。
ずっとずっと前から愛してるよ。
「まさかそれプロポーズのつもり?」
「うん、ダメかな?」
「…バカ」
追憶の鳥籠 口惜しや @kaa11081
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