第22話復讐計画と友情

<妹> 🩶

前の復讐は、私が透明人間だったからやりやすかった。

クズは、私の存在を知らなかったから、目撃者さえいなければ、私にたどり着くことはほぼ不可能。

よって、割と簡単にカラスの死骸をポストに入れられたわけだ。

こういうのは、大胆にやるのが肝だ。

コソコソしていたら、逆に目立ってしまう。

軽い足取りで、朝、顔を洗う様に慣れた手つきでさっと終わらす。

これができる才能を私は持っていた。

元々感受性が死んでいるので、緊張も感じにくい。

しかし、方法が思いつかなかったら、その才能も宝の持ち腐れだ。

心を殺す才能は持っているが、理論立てて考える才能はからっきしだ。

こういう時は、人に頼るに限る。


「◯◯ちゃんから電話なんて珍しいね。何?結婚でもするの?」


「そんな重要発表じゃないと、電話しない奴だと思われてんのか・・・。」


確かに、電話どころかLINEもあまり使わないから、そう思われるのも自業自得なんだけど。


「で、なんだい?」


何故か少し楽しそうにそう聞く唯一の友人。


「何も聞かないで答えて欲しいんだけど、自分の顔が割れてる相手に一泡ふかす良い方法ある?」


「そりゃ、やっぱりSNSでしょ」


本当に何も聞かずに答えてくれる唯一の友人。


「やり方はいっぱいありけど、その人の知られたらまずいことを匿名でバラすとか。写真があったら説得力があって良いかも」


ふむ。


「ありがとう。やってみる」


「ん?もういいの?」


「うん。また行き詰まったり、電話していい?」


「もちろん。その代わり、またコラボしようね」


「分かった。持つべきものは、倫理観のない友人だね」


「ないわけじゃないよ。◯◯ちゃんが困ってるっぽかったから答えただけ」


「・・・ありがとう」


「ん。じゃねー」


ブツっ。

ツーツーツー。

向こうから切ってくれて助かった。

でないと私は、自分勝手な罪悪感から、相手の望んでいない謝罪をしてしまっただろう。

もしかして、唯一の友人は、私のその雰囲気を感じ取り、自分から電話を切ってくれたのか?


「・・・さすがに考えすぎか」

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