第7話 I LOVE馬車

景色がどんどん過ぎてゆく。

馬車すげぇ!


この世界で初めて馬車を考えた人、もう感謝しかない。

あ、もちろんおじさんも。

馬車に乗ってる間おじさんと話をした。


「名乗るのが遅れてすいません。俺、ケイっていいます。」


一応苗字は伏せておく。苗字が貴族だけだったら勘違いされそうだからね。


「こりゃご丁寧に、わしの名はゲルグじゃ。ここいらではかなり名の通った商会を開いとんじゃが、お前さんも街に寄ったらご贔屓にな。」


「はい、その時は是非よろしくお願いします!」


どうやら結構有名な人らしい。

その後、いくつか話してわかったことだが、俺が街だと思って目指してたのは砦らしく、街は砦のさらに先、馬車で1日程かかるらしい。


ゲルグさんに会えて本当に良かった……。

ゲルグさん様様だ。


「そーいやお前さん、街に行くと行ってたが何かやりたいことでもあるんか?」


ゲルグさんが突然そんなことを聞いてくる。

やりたいことかー……取り敢えずまずは住む場所と生活費の確保かな。

まだ元の世界に帰れるかも分からないし……


「取り敢えず仕事を探したいのですがおすすめの仕事とかありませんか?」


「うーむ……お前さんさえ良ければわしの商会の仕事を紹介してもいいんじゃが、それだとお前さんの連れが退屈じゃろう。そうじゃ、冒険者になるのはどうじゃ?」


「冒険者……ですか?」


「うむ、見たところお前さんの連れは戦闘向けに見える。冒険者なら魔物を狩れば報酬が貰える。戦闘が苦手なら薬草や街の手伝いをして稼いでる者もいる。どうじゃ?お前さんにはピッタリな仕事じゃないかね?」


確かにシロとクロは戦闘に向いてるな……。

森の熊だって簡単に動きを止めてたし。

冒険者、目指してみるのもありかもな。


「なるほど、冒険者も視野に入れて考えます。色々教えてくれてありがとうございます!」


「いーってことよ!それよりもそろそろ砦に着くぞ。」


あんなに遠かった門がいつの間にか大きくなっていた。

砦の門には門番がいるらしい。いよいよゲルグさん以外の人間に会うんだな。少しドキドキする。


そんな俺の気持ちをよそに馬車はどんどん進んで行った。

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