目が覚めると森でした。

第3話 ペットができた！

「狼？」

犬よりも大きくがっしりした身体。犬よりもシュッとした鼻。

目の前にいるのは紛れもなく狼だった。

やばい、どうしよう……

俺は思わず後ずさり、その拍子にポケットからチョコが落ちる。

あぁ……大事な食料が……

拾いたいが狼の前ではそんなことはできない。いつ襲われてもおかしくない状況だ。

それに今逃げたら多分この狼は俺を追ってくるだろう。そうなれば絶対に捕まってしまう。

狼は動かない。

どうかこのままどこかへ行ってくれ……！

そんな俺の願いは叶わず狼はさらに俺の方へ近づいてくる。

あぁ……終わった。今日は俺が食料になる側だったのか……

思わず身構え目をつぶる。

しかし狼はいつまでたっても襲ってこない。

もしかして他にいい獲物を見つけていなくなったのでは……？

恐る恐る目を開いてみると狼はまだいる。

いるじゃん！ちょっと期待したのに！

でもよく見ると狼はなにか食べてる。

あれは俺の落としたチョコだ。俺の大事な食料だ。

それを狼はばくばくと食べてる。しっぽを振っている。

かわいい。思わずそう思ってしまう。

だって俺犬派だし……しっぽフリフリしてるし……

実家で飼っていたペロを思い出す。

俺が帰るといつもしっぽを振りながら迎えに来てくれたっけ……元気かな？

久しぶりにペロに会いたくなる。

でも今はそれどころじゃないな。

再び狼を見る。とっくにチョコを食べ終えた狼はしっぽをフリフリしている。

この狼よく見ると全然怖くないな。

これはあれか？もっとくれると思ってるのか？

菓子生成でチョコをだし狼に投げる。狼は上手くそれをキャッチして食べる。

そして2枚目を食べ終えた狼は俺の前まで寄ってきてじーっと見上げてくる。

俺は恐る恐る頭を撫でてみると狼は噛み付くことなく嬉しそうに目を細めた。

しっぽをはちきれんばかりに振っている。かわいすぎる……！

それにしてもこの狼毛艶はいいし見事に真っ白だな……。

狼を撫でながら眺めていると、

『テイムしますか？ はい／いいえ』

という文字が現れた。

この狼テイムできるのか！もちろん答えは、はいだ。

この癒しをみすみす逃す訳にはいかない。

『テイム成功しました。ケイ シバヤマの能力が上がります。』

はいを選んだ瞬間俺の手から光が出て狼に吸い込まれていく。

おぉーなんかキレイ。

でもなんか今気になることを言ってたような……。

そんなことを考えてると狼が服を引張いてきた。

どうやら俺をどこかに連れていきたいらしい。

テイムしたせいか何となくこの狼の考えていることがわかるようになったらしい。

狼について行きながら森を進むと開けた場所に着いた。

真ん中には大きな湖がある。陽の光でキラキラと輝いていてとても綺麗な光景だ。

狼は湖のそばの草が沢山生えているところに向かっていく。

俺も見失わないように追いかけると、そこにもう1匹黒い狼がいた。

どうやら足を怪我していて動けないようだ。

どうしようと考えていると

『回復魔法を使いますか？ はい／いいえ』

文字が出てきた。はいを選択すると身体の中から何かが抜ける感覚がする。

黒い狼を見ると怪我した部分が光って、傷口が塞がっていってる。

よかった……。

ほっと胸を撫で下ろすと、

『テイムしますか？ はい／いいえ』

また同じ文字が出てきた。はいを選ぶと、

『テイムに成功しました。ケイ シバヤマの能力が上がります。』

と言われた。

一体この声は誰が伝えてるんだろうか？ やっぱ神様とかかな？

そんなことを考えてると

「ワン！」

白い方の狼が話しかけてきた。

どうやら黒い方の狼にもチョコをあげて欲しいらしい。

優しいやつめ。

黒い方の狼にチョコをあげると、初めは匂いを嗅いで怪しんでいたが食べ物だとわかった途端がっつき始めた。

この狼たちはどうやらチョコが好きみたいだ。

でも犬にチョコをあげてはいけなかった気がするけど大丈夫なのか？

……まぁ、狼だし、異世界だしなんとかなるか。

とりあえず狼に名前をつけることにする。

なんかかっこいいのがいいな……。

そして考えること数十分。

「……よし！白い方がシロ、黒い方がクロだ。」

ごめん、思いつかなかった。

そんな俺の考えを知らずに、シロとクロは名前をつけて貰ったことに嬉しそうにしてる。

うん。本人が嬉しそうならいいだろう。だから気にするな俺……。

自分を励ましておく。

そういえばテイムした時能力が上がったとか言ってたよな？

試しにステータスを見てみる。

ケイ シバヤマ 19歳

レベル１

HP 1000 (1000)

MP 1450 (1500)

力 500

魔力 600

スキル

『水魔法 Lv1 』『火魔法 Lv1』『回復魔法Lv１』『テイム Lv- 』 『塩生成 Lv2 』 『砂糖生成 Lv2』『菓子生成 Lv２』 『MP自動回復(中)』『強運Lv-』

称号

転移者 森人

「……え？」

なんかものすごく強くなってるんだけど……。