第2話 水、チョコうまい!……え、狼?
ぱしゃっ
水が顔にかかる。口にも入り少し喉が潤う。
「……みず」
もう一度口に出す。
ぱしゃっ
同じように水が落ちてくる。
「……みず、みず、水、水」
落ちてくる水を無心に飲む。しばらく飲み続けると喉の渇きが無くなった。
「ふう……」
助かった。一息ついて考える。
何故水が急に現れたのか。
考えられる原因は1つしか思い浮かばない。2日前に一瞬だけよぎり捨てた可能性。
もしそれがあっているならば確かめる方法がある。
「ステータスオープン」
こういう時にお約束の言葉を唱える。
ケイ シバヤマ 17歳
レベル1
HP 20(20)
MP 10(20)
力 10
魔力 10
スキル
水魔法 Lv1 火魔法 Lv1 テイム Lv- 塩生成 Lv1 砂糖生成 Lv1
称号
転移者 森人
……ほんとに出た。これは認めるしかない。俺は異世界転移している。
さっき俺が助かったのは水魔法のおかげだろう。そのせいかMPが半分になっている。
1回につきMP2消費か……出す量によって変わるだろうが大事に使わないと。
テイムはおそらく動物や魔物を使役したりするものだろう。
火魔法は多分水魔法と同じだ。
次に謎のスキル『塩生成』と『砂糖生成』。なにこれ?
とりあえず使ってみよう。
「塩生成、砂糖生成」
目の前に拳大の白い粉が2つ現れる。ドキドキしながら舐めてみる。
普通に塩と砂糖だ。
使えねぇー。せめて食べ物出せるスキルくれよ………。
そう思った時、
『塩生成と砂糖生成の使用を確認。スキル菓子生成が追加されます。』
という声が聞こえた。いや、聞こえたと言うより頭に直接響いたと言った方が正しいのかもしれない。
なんだろう。菓子生成?チョコとか?
もう一度ステータスを確認する。
ケイ シバヤマ 17歳
レベル1
HP 20 (20)
MP 8 (20)
力 10
魔力 10
スキル
水魔法 Lv1 火魔法 Lv1 テイム Lv- 塩生成 Lv1 砂糖生成 Lv1
菓子生成 Lv1
称号
転移者 森人
聞き間違いじゃない。確かにスキルが増えている。
お菓子が出てくるとか?もしそうならチョコが欲しい。
そう思いながら
「菓子生成」
と唱えた。
すると手の上にチョコが出てきた。……ほんとにチョコだ。
見た目は普通の板チョコだ。恐る恐る食べてみる。
……うまい。めちゃくちゃうまい。
2日前から何も食べてないから余計そう思うのだろう。
チョコをあっという間に食べると残りのMPを確認すると6だった。
チョコ1つで2を消費するらしい。
俺はもうひとつ保険にチョコをひとつ作ると再び歩き始めた。
****
あれから3日が経った。相変わらず目に入るものは森、森、森……。
出口は全く見えない。多分この森結構広い。
まさかとは思うけど実は初めに起きた場所が出口の近くだったとかないよな……。
そんなことを考えながらも拾った木の棒を持ちながら歩き続ける。
木の棒は身を守るために一応だ、一応ね。
この数日でわかったことがいくつかある。
この世界は俺のいたところと別の世界であること。
魔法が存在し、レベルの概念がある。
ちなみにMPは寝たら回復した。
次に菓子生成、あれはどうやら砂糖生成と塩生成を使ってお菓子を作っているらしい。
チョコ以外も出せそうだったので煎餅や飴とかを出してみたが塩豆大福の時だけ消費MPが3だった。
おそらく塩と砂糖を一緒に使うからだろう。
こんなところかな。思ったより少なかった。
それにしてもこの森は動物を全く見ない。角うさぎなんてあれから2回見ただけだ。
そろそろ肉が食べたい……次にうさぎを見つけたら捕まえてみよう。
そんなことを考えながら歩いてると
ガサガサ、ガサ
後ろから音がした。
来た!今夜は肉だ!
ヨダレが出そうになるのを堪えて振り返るとそこにいたのは、白い狼だった。
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