2 夕飯の支度

 夕飯の支度の時間、決まって君はそこにいる。私がよく見える位置、キッチンの正面の椅子にちょこんと行儀よく座って私を見つめる。

「構って」と言っている。その眼、その声、その欠伸が。

 見えないけれど、今もそこに必ず居る。聞こえる。君が私を呼んでいる。


「まだ?」

「まだだよ」


 君がいるはずの場所に向かって答えた。

 そんな思い出。

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