拝啓、私を見つけた人

水中

1 遺書

「疲れた」


 声に出して言ってしまった。言いたくなかった、言ってしまったらもう動けなくなるのが分かっていたから。でも言ってしまった。だからもう私は動けない。


「消えたい」


 この世界から、私という存在を消したい。大きな消しゴムがあれば、私という存在を擦れば消えるだろうか。跡形もなく無になりたい。私の死体なんて汚い抜け殻、この世界に残したくないもの。でも私はもう動けない。だから私の汚いこの身体は、誰かに見つけてもらって誰かに処理してもらうしかない。ごめんなさい。先に謝っておくから、どうか許して。


「ありがとう」


私を見つけたあなたへ。

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