第3話 事情を考える

「ねえ、さっき…… 見たでしょ?」

「えっ、あっ。うん。ごめん」

 彼のシャツは、お茶で濡れていたので洗って、乾燥器で回っている。


 ズポンは拭いただけ。

「それも脱ぐなら、乾燥器で回せるわよ」

「あーうん。そうだね」

 替えの服。お父さんのスエットを渡す。

 少し緩いみたい。


 奇妙な沈黙。

 だけど、彼も男の子だったようで目立つ。

 こう言うとき、男の子って不便ね、変化が外から見える。


 私は、彼に近寄り、声をかける。

「ねえ、結構興味とかあるの?」

 自分のことは棚に上げて、彼に聞く。


「えっ? 興味?」

「ここ、男の子は不便ね。私の…… 見て大きくなったの?」

「あっいやそういう訳じゃ…… 嫌ごめん」

 そう言って彼は、赤くなる。


「いいの。その、嬉しくって、私に興味があるって言うことでしょ…… その、私…… したことが無いの」

「そうなんだ」

 そう言いながら、彼は耳まで真っ赤になって俯いてしまう。


 彼に、キスをする。

 驚く彼。

 最初は、俯いている頬に、そして驚き持ち上がってきた口びるに……


「ちょっと待って」

「待てない」

 私は、前の失敗を覚えている。

 チャンスは逃さない。


 彼に体重を掛けて押し倒し、彼の上に重ねる体。

 今私も、ブラは無しでスエットのみ。

 彼の呼吸と体温が伝わる。

 

 右手を伸ばして、彼の物を握る。

 はしたないかもしれない、でも、男の人は此処に引きずられて、理性がなくなると誰かが言っていた。


 ぎゅむぎゅむと、握るとすごく固くなる。

 おもしろい、彼もの顔も変化をする。

 少し鼻の穴が開いて、眉間に皺が寄っている。

 どういう反応?


「ああっ、ちょっと待って」

「えっ、どうしたの?」

「いっちゃうから」

 そういえば、力が入っている。


「こら、やめ……」

 彼の体に力が入り、私の握っている物に変化…… そして手に温かい物が流れてくる。


「これって……」


 彼は、自身の目を隠すように、右腕を顔の上にのせる。

 多少息が荒く。


 手の中で、彼の物は小さくなっていく。

 流石に理解する。

 微妙な沈黙……


「あーとえー、汚れちゃったね。洗濯をするわ」

 そう言いながら、ズボンを脱がせる。

 その途端に広がる匂いと、見慣れないもの。

 夕暮れの、赤い光が二人を照らす中で、私は流れ落ちる物をウェットティッシュで拭う。

 

 その刺激で、また彼の物はすこしだけ、大きくなっていく。 

 相変わらず、彼は顔を隠したままだ。


 その時、深海は考えていた。

 これは彼女が望んでやっていること、だけど、見智が怒る気がする。

 彼女はあの時から、俺と結婚をすると言って、ずっと後を付いてきた。

 彼氏彼女という関係ではないけれど、これは多分駄目だろう。


 そう思い、起きあがる。


 彼女に、パンツごと脱がされて、随分おまぬけな格好。

「返してくれ」

「えっでも、汚れているわよ」

「かまわない。他の服も」

 そのやり取りで、私は理解をした。


 受け入れられなかった。

 なぜ? どうして私じゃ駄目なの。


 その瞬間に、カッと頭が熱くなり、私はそうね。暴走モードに入った。

 下半身裸であぐらを組んで座っている彼。

 持っている物を、床に投げると、私は彼の元に。

 多分必死だった、ズシズシと近寄り、彼の肩を押す。

「何をする?」

「こうするの」

 彼の物を掴み、刺激する。


 だけど、さっきみたいには反応をしない。

 どうすればいい?

「どうして、元気にならないの?」

「そんな気にならないから」

 そうは言ったが、男の都合。

 そんな時間が必要なのだが、説明する気も無い。


「どうして」

「それは…… どうでも良いだろ」

「良くない」


 そこで、思い出す。

 いつか見た映像。

 見たときには、こんな事をするのぉと嫌悪したが、試す。


 少し力の無い物を咥え込み、舐める。

「あっこら」

 彼に肩を押されるが離れない。

「じっとしないと、かみ切るわよ」

 そう言って脅す。


 そう言うと、力が弱くなった。

 彼の物を、右手でささえ、口で、その間に私は自分の物を使えるようにほぐす。

 その時、興奮していたのか、ものすごく気持ちが良かった、そのためすぐに準備ができた。


 後は、彼のが元気になれば、這い上がり、腰を落とせば良い。

 そうそんな事を考えると、ゾクゾクが止まらない。

 そう頭の中で考えた、過去に聞いた情報からの期待。

『慣れると、気持ちが良いわよ』

『彼の…… ステキなの。頭の奥が痺れて、何も考えられない』

 あいつが言っていた、彼との感想。

 聞きたくないのに、ペラペラと教えてくれた。


 やっと彼のが、大きくなった。

 ズボンを脱ぎながら、彼の上に這い上がっていく。

 彼の顔は、少し怒っていたけれど、かまわずキスをして、右手で位置を合わせて、腰を落とす。


 思った以上に、痛い。

 だけど、息をはきながら、ゆっくり。

 お腹の中を、何かが押し広げながら上がってくる。

「はううっ」

 

 上着を脱いで、胸を彼の顔に押しつける。

 するとやっと諦めたのか、彼は応じ始める。


 深海は考えていた。

 見智が怒る気がするのは分かるが、淋しい彼女がいま望んでいて、相手を出来るのは俺しかいない。

 此処で見放せば、今までやって来ていた誰かの助けになるという行動は、無駄になるんじゃないか?

 そう、転校をしてきて、彼女は淋しく、支えになる人を探し、体を使ってまで、俺を欲している。


 それが、ぐるぐる考えた末に行き着いた答え。


 まあ、どう言い訳をしようが、見智からすれば浮気だ。

 彼はその事に、蓋をした。

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