第3話 おかしな思考

 そう、結局今二人は、いかにして俺を喜ばせるのかを張り合っている。

「ねえ、どうこれ?」

「うん、気持ちいいよ」

「いつまでしてるのよ、代わりなさいよ」

 とまあ、修羅場??


 結局、コミュニケーションアプリに、俺と二人のグループを作り、抜け駆けは無しという決まりを作ったらしい。

 その中には、怪しい写真が乱舞する。


 どこかで、こんな写真を男が喜ぶと聞けば、トイレ中の写真が来たり、公園で露出する写真が来たり、おもちゃを入れて家まで来て、スイッチがプレゼントされたり。


 当然一方がそれをアップすると、もう一方も見る。

 そして、行為はより過激になる。

 わずか十日で、大丈夫かという感じになってくる。


「二人ともいい加減にしなさい」

 二人は、今俺の前で正座中。


 張り合うように、下着無しで電車に乗り、痴漢にあったそうだ。

 駅から出ても追いかけてきたらしく、俺が呼ばれて追いかけた。


 先に帰った彼女達は、なぜか裸で正座。

 見た瞬間に、がっくりと力が抜ける。

「なんでそんな格好?」


「あの、痴漢が怖かったけれど、興奮をして…… すぐして欲しくて」

 そう、この日俺は失敗をする。

 

「畜生、逃がしちまった」

 帰ってきた俺は、そのまま部屋ヘ向かい、襲われることになる。


 そう、玄関の鍵をかけ忘れた。

 そんな些細なミス。


 チャイムが鳴ったらしい。

 多分ね。

 ただ、ただれた時間を満喫中の俺達は、気がつかなかった。

 そしていつもの様に、ノック無しで開けられた扉。


「あっ」

 涼葉すずはは、百花ももかと目が合ったらしい。


 だが、暴れることなく、百花ももかは珍しく、素直に帰った。


 ただ、彼女の頭の中はぐちゃぐちゃで、友人達二人と幼馴染み。

 それも、過去、現在、進行形中で好きな人。

 そのエッチ現場を目撃。

 どうして、何時から……


 ぐるぐると考え、わずか数分で答えを出す。

 光樹みつきが初めてじゃないなら、私も初めてではいけない。

 そう相手が初めてだと、男にとって負担と、何かで読んだ記憶がある。

 ひどくいい加減で、曖昧な情報。


 そうよ男だもの、年頃だし、目の前に穴があれば我慢ができなくて…… 手近ですましちゃったのね。

 言ってくれれば良かったのに。

 それとも男子の中でも、ドウテイとかって仲間内で引かれるとか? 女子でもいるのよね。自分が経験をしたからって、あんたばかあとか言う子。なんでそんなもの大事にしているのよ、みたいに言ってさ。


 その考察は、百花ももかの中でどんどん自分にとって都合の良いように改変されて行く。


「そうよ、きっとあの二人で練習をして、私のときに驚かそうと思ったのね。じゃあ見ちゃったのは黙っておかないと……」


 そうね、始めては痛いらしいから、負担にならないように、あたしも適当に相手を探して……


 だが、どうしたって比べてしまう。

 駅前で、通り過ぎる人を見ていた。

 でも、背が低い。

 ふっとている、痩せている。

 性格が悪そう、目付きが悪い。

 光樹みつきに似てない。


「うーん。スマホ…… そうだ」

 どこかで聞いた、マッチングアプリ。

 秒で始まる出逢い。

 最高の恋愛、必ず見つかる理想の相手……

 満足度一位。


 うたい文句を見ながら、適当にインストール。

「へー。女性は無料。近くに居れば、通知が来るんだ」

 エッチの上手な人募集。


 とまあ、危ないキーワードを入れる。

 何も考えず顔写真を撮影。

 公開。


 百花ももかは、黙っていればかわいいタイプ。

 妙な思い込みと、暴走さえなければ良いやつではある。


 そしてこの日、たまたま、最悪を引き当てる。

「高校生の火遊びかな」

 近くに居て、顔がそこそこ良くて、若くて、高身長。

 顔だけは優しそうな人。


「君が百花ももかちゃん?」

「はい。なんですか?」

「これだよこれ」

 見せられた画面。

 

 プロフィールを見て、OKを出した人だった。

「どこかでお茶でもする?」

 だが、百花ももかは決心が鈍らないうちに、なんとかしたかった。


「いえ、行きましょう」


 そう言って、煌びやかなホテルに入る。

 適当に、部屋が選ばれ、中へ入っていく。


 コンセプトが、ソフトSMの部屋。

 入った瞬間に、一瞬ビクッとなる。


「お茶でも入れようか? それとも風呂?」

「すっ、すぐに」

「ええ? 汗もかいているだろ」

 そう言われると、汗びっしょりだった。


 光樹みつきとお父さん以外で、初めてのお風呂。

 洗剤をつけ、体が洗われていく。

 それは、ヌルヌルにゅるにゅると百花ももかをもてあそぶ。

 慣れているだけあって、くすぐられたりしながら、こわばっていた体から、力が抜ける。


 それは、湯船にいる間続けられ、百花は彼氏を喜ばせたいと言ってしまう。

「そうなんだ、彼氏をね。じゃあ色々と勉強をしなきゃね。何もできないマグロ女子は嫌われちゃうからね。先ずは基本、咥えてみよう」

 彼が浴槽のヘリに座る。


 怖々始めたが、もうちょっと積極的にしないと嫌われるよとか、事あるごとに喜ばせるためと言われて、百花は頑張る。


 コンセプトが、ソフトSMだけあって、もこもこの付いた手錠とか、バー付きの足枷とかがある。


「痛くないようにしないとね。十分ほぐせば大丈夫だから」

 そう言って、足が閉じられないようにされ、手も足枷に固定される。

 足首の所に手首が一緒に固定。


 そして、一〇分ほど舐められた後、ぼっとした頭。そして、マッサージ器が敏感な所に当てられた。

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