タイミングの重要性
第1話 知らないうちに
「
信じられない事に、友人からコミュニケーションアプリで誤爆があった。
たぶん、
だから私は、問い詰める。
「何が?」
「彼女…… 付き合っているんでしょ?」
「―― 付き合ってはいないな」
この間、やっぱり……
「でも…… えっちな写真を送る仲なんでしょ」
「んーまあ、
「
彼と私、声は同時。でも相手が違う。
「えっ?」
当然お互いに驚く……
「へっ?
そう、普通ならその位じゃ誤爆だと思わないけど、普段がねえ。
「
あの子は、こんな台詞を、私に向かって平気で言う。
そしてこの二人が、コミュニケーションアプリでIDを交換するのを、仲介したのが私なのさ。
そう私は、
でもヘタレで、中学校三年生の時受験勉強とか、ほとんど一緒に暮らしてた。
それなのに、告白すらできない。
「髪をかき上げて、フッとか言えば、それだけで幾人かが恋に落ちる」
「それは
そう言って、彼は困った顔をして笑う。
―― 実は、
腐れ縁的に、一緒にいるが、もうね。
花火大会、
そして、
浴衣姿は普段と違い、ドキドキするには十分だった。
普段の振り回されるだけの花火大会とは違い、ゆっくり楽しめたし、暗い中で、一瞬だけ照らされる横顔。
もう十分だった。
帰りに、あまりに人が多く、少し避けるために神社側にはいった所で告白をされた。
「ずっと言いたかったんだけど、ずっと横に
「そうだな、腐れ縁かな」
「じゃあ、もっと早く言えば良かった」
そう言って、妙に目立つ赤い唇が、近寄ってきた。
そう告白を受け、初キスをその日にした。
だけど、まだ付き合ってはいない。
なぜか、俺の心にストップがかかる。
「ごめんな」
「いいわよ。今更あわてないわ」
そんな状態だが、仲は良くなった。
そして、今こいつの何度目か分からない勘違いから、いきなり付き合っているでしょと来たんだ。
思いっきり驚いた。
でまあ、名前が違う。
「なんだよそれ?」
「ちょっと確認をするから、ああ疑惑の写真そっちに送るから見ておいて」
「はっ?」
すぐに着信。
見るけどさ、
「はっ何それ? そんな物見たって嬉しくないわよ、あんた私より二センチ大きいからって調子に乗りすぎ……」
電話を切って、脱力中の
「そんじゃあな」
「うん、ごめん」
部屋から出て、階段を降りようとしたら捕まる。
気がついたようだ。
「ねえさっき、
「いや祭りに行けなくて、残念だったなと」
「あっお祭り…… ごめんね熱が急に出ちゃって、検査をしたら流行病で、今待機中なの」
簡単にそう言われて、俺は驚く。
「馬鹿野郎、そんな時に呼ぶんじゃねえ。濃厚接触者じゃねえか」
「濃厚接触? えっキスだってしてないし、会って話をしただけだよね」
「そう言うのを、濃厚接触と言うんだよ」
思わず、頭を抱えてこめかみをグリグリする。
「ええっ? エッチしたりじゃないの?」
「………… 帰る」
何か言っているが、バカは気にせず帰ることにした。
熱は出ていないが、俺は真面目に五日ほど部屋に籠もった。
むろん、まともな奴とはやり取りする。
それ以外は既読スルーだ。
だが、どこから回ったのか、
その後ぽつりと、問いがくる。
「どう? ドキドキした?」
「あーうん」
とだけ返す。
するとだ、真っ赤な顔でニューバージョンが送られてきた。
「おお、ありがとう」
返す返事に困った俺は、そう返した。
高校二年生の多感な俺を、完全にこいつは殺しに来ている。
キス顔のアップとか。
来る度にグッドスタンプを、即押していると……
そう、なんと言えばいいのだろう。
セルフヌードから、一人エッチ?
そして同じように、
無論、グッドスタンプは連打。
「えっ、こんなのが嬉しいの?」
「うん、嬉しいよ」
当然返す。
そうすると、こっちはこっちで、写真と共にどれだけ思っているとか、好きとか、どんなポーズがいいとか質問が来る。
隔離中は、そんなこんなで、俺の心の中に変なものが溜まっていった。
そして、その時はやって来た……
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