最悪は意外と身近に

幼馴染みの恵子

「おい、何やってんだ、行くぞ」

「ちょっと、待ってよ」


 家は、父親が駄目な野郎で、小学校の時に離婚をした。

 そして、このアパートに引っ越してきた。


 同じく、隣の恵子んちも、事故でお父さんが亡くなったとか。

 家はアパート、恵子の家は持ち家。

 当然俺は、恵子の家へ入り浸る。


 同じ母子家庭だが、恵子の家の方がお金はある。

 亡くなったお父さんの保険だったり、おばさんがきちんとした仕事をしていたり。

 家はパートを掛け持ち。


 でも、母親同士は、そんなに仲が悪くない。


 おかげで、俺達は兄妹のように育って来た。


 たまには、おばさんの実家へ帰るときには、俺も付いてきたりして、川遊びもした。

奈希なきくんは、大きくなったら家の子になるか?」

「えっいいの?」

 夏休みに遊びに来て、畑で収穫をしたり、草取りをしたり大変だったけれど楽しかった。


「じゃあ、奈希くんは、恵子と一緒に暮らすんだね」

「うん? いいよ別に」

「まだ、よく分からないか」

 おじいさんがそう言うと、恵子が口を挟む。


「私と結婚をするんだよね」

「そういう事になるなぁ」

 わっはっはと言っていたのだが、日野のおじいさんは二年後くらいに死んでしまった。田んぼで草取り中に倒れた。熱中症だったらしい。


 でもまあ、その時のことは二人とも覚えていて、中学校の時もきちんとそう思っていた。たぶんね。


 中学校三年の時にはキスだってしたし、同じ高校に行くため二人で頑張った。


 そして高校。


 日野のおばさんは、恵子の高校入学をキリが良いとして、再婚をした。

 日野 恵子は高校から、心根 恵子こころね けいことなった。


 そしてオッサンと、息子の烈士れつし二〇歳の大学生らしい。

 その二人が、家に転がり込んできた。


 当然、幼馴染みでも、年頃の娘のところへ男の俺が居座るのは許されず、暗黙だが出禁となった。


 でも、恵子は一学期くらいは迎えに来ていたし、俺の家に遊びに来ていた。


 ただ表情は、月日と共に、暗くなっていった。

 理由を聞くと、やはりプライベート空間に男が二人入り込めば、ストレスだってかかる。

 お母さんには伝えて、向こうにも年頃の娘がいるからと言って貰った様だ。


 そして、夏休み。

 おじいさんが死んでから、一度墓参りに行ったが、その後行ってない。

「おじいちゃんの所へ行くのか?」

「うーん、今年は多分行けない。お母さんが結婚して、日野さんになったから、日野さんの実家へ行くみたい。知らない人ばかりで、憂鬱。行きたくないよぉ」

 本当にいやそうに顔が歪む。


「家にいれば?」

「ご挨拶だし、無理だと思うよ。結婚式とかもしていないから、向こうでお披露目とかするんじゃない? しらんけど」

「知らんけどって、おまえなぁ」

「仕方ないじゃ無い。お父さんの方は常識人だけど、烈士って目がいやらしいのよね」


 恵子は別に美人なタイプじゃ無いし、まあ普通?

 絶対、本人には言わないけれど。

 かわいくも無く、そうクラスにいれば埋もれるタイプ。

 だから俺も、気楽に思っていた。


 そして、向こうに行って帰ってきて、お土産を渡しに来た。

 だがその時、いやな感じはしたんだ。

 母さんには顔を合わせるけれど、俺と目を合わせなかった。


 それは、二学期になっても同じ。

 心配だが、見に行っても残念ながら、烈士が出てくると門前払いを喰らう。


 アパートからも、見る事は出来ない。

 だがしかし、子どもの頃から探検をした家、恵子の部屋への往き道はある。


 その夕方、俺は様子を見に行く。

 そうスマホも、俺はブロックされていたんだよ。

 まあそれもあって、心配をしたんだけどな。


 でだ、行くんじゃなかったと思った。

「ほらきちんと咥えろ。強にしたぐらいで止まるんじゃねえ」

 覗くと、見えたのは恵子のおしり、だが、四つん這いで前の穴と後ろの穴に何かが、刺さっていた。


 イルミネーションが光り、唸るような音が外まで聞こえる。

 上半身は、上下に動き、烈士が胸をもみしだいている。


「ほら奥まで咥えろ、もういくから、きちんと飲めよ。確認をするからな」

 そう言って、奴は恵子の頭を押さえ込む。


 苦しいのだろう。

 だけどその時、足とお尻が痙攣するように動く。


「よし、きちんといけるようになったな。口見せろ。それで良い最後まで綺麗にしろ」

 そう言って、奴は出て行く。


 そして、恵子は仰向けになると、自分に刺さったものを使い、最後まで行為を行う。

「んんっ。あああぁぁ」


 そして、引っこ抜いたそれを、じっと見つめると舐め始める。

 それは、俺の知っている恵子じゃなかった。

 顔からあどけなさは消え、女だった。



 そのあと、もう一度行ったときには、烈士の連れだろうか、もう二人と、一緒にやっていた。嬉しそうに……


 その後、どうなったのかは知らないが、おれは、卒業後に家を出た。


 アイツが悪いのか、恵子に素養があったのか、だけどもう俺の知っている恵子は、どこにも居ない。


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 お読みくださり、ありがとうございます。


 げっ連休だという事で、一話完結です。

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