覆水は盆に返らない

第1話 気が付けば、そこにいた存在

「なあ。そっち終わった?」

「えー。もうちょっと」

 中古書店で、セット売りを買い込んできた漫画。それを怠惰に読み込む二人。


 夏休みの終了まで、後七日……

 中学校三年。

 普通は受験のために努力する時期。


 夏休みに入った直後、三者面談では頑張れば一つ上の学校にも行けますよと言われたが、頑張るのが面倒で偶然二人とも拒否をした。


「ほい」

 ベッドの上から本が降ってくる。

 上にいるのは七海ななみ。女。

 特徴無し。

 学力普通。

 色気無し。

 クラスにいれば、埋もれる存在。


 そういう俺は優太ゆうた。男。

 同じく、特徴なし、学力普通、運動普通。

「上から落とすなよ。ほら」

 続きの巻を、ぽいっとベッド上へ投げる。


 当然、ベッドの方など見ていなかった。

「ふんぎゃ」

 俺が投げた本は、七海の顔を直撃したようだ。


「投げることないでしょう」

「お前だって、落としたじゃないか」

「このぉ」

 上から、七海が俺の上にずり落ちてくる。

 奴の両手。

 狙いは俺の弱点、脇腹だ。


 だがベッドの上から、ベッドの下で座っている俺の上へと降ってくると、まあ想像は付くだろう。奴の顔が胡座を組んだ俺の股間へとハマり、頭は床へと付く。


 俺の目の前に、丁度七海の股間。

 でっ、コイツは今、部屋着のスカート。

 俺の頭を挟む感じで、足はなんとかベッドに残っている。

 本人は、なんとか三点倒立の形で踏ん張っているようだ。


「何やってんだ?」

「しゃべんないで、くすぐったい。てっどこで。ちょっとどうにかしなさいよ」

 うだうだ言っているから、空気を吸い込み、股間に口をつけて息を吹き込む。


「うひゃあ、何やってるの。怒らないからそれやめて、生暖かいし、ひんっ。だめ。やめて怒るよ」

 そう言って足が、頭を締め付ける。


 俺は頭を振りながら、さらに、息を吹き込む。


 なんとなく、そこがどういう所かは分かっているし、小さな頃には見たことがある。だけど、その頃とは違っていることを俺は理解していなかった。

 そうお互いに。


 仕返しなのか、俺の股間にも生暖かい空気が吹き込まれる。

「うげっ。何すんだよ」

「気持ち悪いでしょ。そう思ったらやめなさいよ」

 そう言って、奴の太ももは俺の頭を締め付ける。


 そう丁度体温的に、お漏らしでもしたかのような感覚。

 むきになって、お互いに五分くらい? 吹き込んでいた。

 いい加減過呼吸で目が回る。


 そして、変化に気が付く。

 そうパンツが濡れている。

 やべ、よだれでも付いたのか? 俺はそう思った。

 だけど、透けるその形は前とはちがい、ぐにょっとしてる。

 そして、口をつけるだけで、七海はビクッとして、あっとか、うんっとか言い始める。


 でだ、俺の股間も刺激を受けて大きくなっていた。

 悪い事を考えた。

 いつか悪友が見せてくれたビデオ。

 口でぐにぐにしながら、自分のズボンを下ろす。

 ビクッとしたが、理解をしたのか暖かい感触が俺のを包む。


 それに合わせて、俺は手を使い始める。

 そう、七海に対して。


 その指の動きに合わせて、体をくねらせる。

 その感じがなんとなく良い。

 だけど、慣れていない俺は、あっという間にいってしまった。

「ふぐぅ」

 強引に、足が俺の頭を蹴り飛ばしながら乗り越え、七海が回転する。


 なんか涙ぐんでいる。

「ばか。飲んじゃった。苦いけど大丈夫なの?」

 そう言って机の上にある、ジュースを飲む。


 俺は後始末をしながら調べる。

「大丈夫そうだよ。タンパク質とミネラル補給にバッチリだって」

「むうっ」

 そう言って、スマホを覗き込んでくる。


 納得をすると、言い始める。

「責任取りなさいよ。自分だけ」

 そう言って、俺の前に座り、手を導く。


 それから、三十分くらい、奴が満足するまでお手伝いをさせられた。

 割が合わない。


 まあそれから、毎日のように楽しんだ。

 そうして、受験をして高校へ。


 このまま、七海との関係が続くのだろうと思っていた。

 そうして高校二年の時、俺の身長はいきなり七センチも伸びて大きくなった。


 その変化と、運動能力、勉強。

 まあ勉強は、七海に『今時大学に行かないとだめ、最低限の資格だから』と言われて、まあ努力をしたんだよ。

 その横で、コイツは漫画を見てたけど。


 その途中で、漫画に飽きたら、お嫁さんになる練習などと言ってじゃれてくる。

 そんな生活を送っていた。


 ところが、夏休みに海の近くに、じいさんの家があると誘われて男女五人ずつ。

 グループ交際という奴に出かけた。

 まあ来年は、受験前。

 遊べるなら今だろうと。

 成績が上がってきていた、俺の親は文句を言わなかった。


 実際くると、お金持ちのようで、大きな母屋。

 そして離れ。

 一階は、農機具やボート。

 水上バイクまであった。

 まあ俺は免許など持っていない。


 ところが、さそった黒瀬は特殊小型船舶操縦士を持っていた。

 じいさんの趣味に付き合うために、十六歳になって、二級小型と共に免許を取ったらしい。

 昔は、小型船舶免許で、水上バイクも運転できたが、今は特殊小型船舶操縦士が必要だそうだ。平成十五年六月から、色々と法規が変わったらしい。


 黒瀬の家はこの辺りの土地も持っていて、小さな入り江がプライベートビーチのように使えるらしい。

 本当なら、小山を登り崖を下ってその入り江へと到着するが、船で行くらしい。


 同級生なのに、すげえと皆が感動をする。

 その晩は、母屋の方へ招かれてごちそうを貰う。

 明日の晩は、砂浜でキャンプの予定だ。

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