第2話 うわさ
そろって、同じ高校へ通う。
サッカーで、推薦とかなったらどうしようと思っていたが、中学デビューじゃ遅いそうだ。
そう言いながら、かなり悔しそうだった。
でも、おかげで同じ学校。私は嬉しかった。
高校になると、恋愛話は一気に、グレードアップをする。
夏休みを過ぎたあたりから、一気にした、しないという話になる。
夏休み明けから、いきなり雰囲気の変わった子も出始める。
彼は相変わらず、部活だし。
そんな日々。なぜか、冬に向けて気合いが入ってくるサッカー部。
中学校と違い、かなり大変そう。
戻ってきても、そのままたおれこみ、ベッドでへたり込む彼。
起こして、風呂場へ放り込み、私は彼を満喫する。
一度試合に出られるかもしれないといって、見に行ったけれどルールもよくわからないし、むっちゃ寒い。
結局出られなかったし。
ただまあ、そんな彼を慰め。甘やかせる。
結構楽しかった。
そして、あの二年生。
彼を信じられなくって、早とちりして裏切った。
新入生の中に、同中だった子が居て、マネージャーで入ったらしい。
仲の良いところを見るが、絶対の自信があったし気にしていなかった。
そんな中で、皆が色恋に浮かれる夏が近付いてくる。
誰と誰が付き合い始めた。
お祭り前に告白し、彼氏が欲しい。
そんな話が、クラスの中で湧いてくる。
そんな中に、良人と一年の女子マネが付き合ってるという話が湧いてくる。
そんな事はない。だって、彼も私を求めてくれる。
そりゃ、会える時間は少ないけれど。
そして、噂は一歩進む。
キスしていた。そんな話。
水飲み場、そんな目に付くところで見たという。
我慢できなくて、彼を問い詰める。
「あーごめん。顔を洗って、暑かったから頭から水をかぶったんだよ」
彼は私の問いかけに対して言いずらそうに、申し訳なさそうに告白をする。
聞きたくない。聞いたのは私だけれど、謝罪が出た瞬間に確信へと変わり、その先を聞きたくなくなった。でも。
「それで、タオルをどうぞって聞こえて手を伸ばしたら、タオルの代わりに彼女の、その唇が。軽い奴だけど。本当に一瞬で」
「もういい」
私は彼の部屋を飛び出す。
ドラマのように、泣きながら道を歩き、うちへと帰った。
ただ途中の記憶はあまりない。
そのおかげで、うん。そのせいでテストは最悪だった。
本来なら部活も休みだから。一緒にいちゃつきながら少しは勉強をしていた。そんな楽しく辛い期間なのに、あの日以来足が向かない。
幾度か会った時も、彼は目をそらす。
自分に落ち度がなければ、堂々として会いに来れば良いじゃ無い。
本当に、彼女と付き合っているの? そんな、妄想さえ浮かんでくる。
考えが分からない。
何を考え、どうするつもりなの?
そんな中、テストが終わり、あまり仲の良いグループじゃないけれど声が掛かる。
「あれ? 亜麻衣(あまい)めずらしい。いつもソッコーで帰るのに」
「あーうん。今ちょっと」
そういうと、彼女の顔がにまっと笑う。
「暇ならカラオケに行こう。打ち上げ」
カラオケね。あまり行ったことが無い。
人の前で歌うなんて、なんだか恥ずかしいし。
「歌、あまり得意じゃないし」
「ばかねえ。大声出すだけですっきりするのよ。エッチと同じ」
そう言って、またにまにましている。
そうかこのグループって。
どうしよう。
「よし、ほれほれ行くよ」
そうして、重い足取りのまま付いていった。
そして店へ到着し、部屋のドアを開けた瞬間に後悔する。
見たことのない。どう見ても同級ではない男の人たち。
「私、やっぱり」
「何言ってんの。ほらあ、あんた達顔が怖いってさ」
「失礼な。君誰さん。初めてだね」
「和木野です」
ぼそっと答える。
「おー初々しい。お前達と同じ歳とは思えんなぁ」
「失礼な。あたしらだって現役JKだぜ」
そう言って制服を見せびらかす。
「そうだったか? コスだろ」
場が下品に盛り上がる。
でも、どういう関係か知らないけれど、皆歌がうまい。
点数も、九〇点以上がバンバン出る。
「ねえ何か上手だけれど、皆音楽関係者なの?」
「えー違うよ。たぶん」
そう言って、彼女はタンバリンとマラカスを振り回す。きゃぁーとか言いながら。
「さあ。ぼーっとしていても、つまんないっしょ。何か入れようぜ」
「でも、あまり歌ったことないし」
「えっ、初めて?」
「そうじゃないですけど……」
「亜麻衣ちゃん。普段何聞くの?」
結構食い気味に寄ってくる。
「えっ。適当に」
「じゃあ聞いているものなら覚えているでしょ。行こうよ」
「今なんか、落ち込んでいるらしいよぉ」
「男女関係? なら黒の舟歌とかどう?」
「そんなの誰もしらないよ」
「ばっか、桑田様も歌っているんだぞ」
また、ぎゃははと湧き上がる。
「桑田さんなら、クリスマス 。TAKE FIVEだろ」
「あーあれ。伝説だよね」
「歌詞がすごくえっちぃ奴ね」
「あれ、動画が上がっているんだぜ」
「せめて、セカオワのアンブレラとか」
「伝説となった、砂の惑星だろ。みくちゃーん」
わいわいと楽しそうだが、皆の言っていることが分からない。
結局、誰もまともに歌えなくて、叫ぶ曲と言うことで、うっせぇわを歌うことになった。
うん聞いたことあっても歌えないし、六五点が出た。
それで、また大騒ぎ。
やべーの連呼。
私は、恥ずかしくって思わずジュースを一気飲みした。
「あっ。それおれの」
「ごめんなさい」
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