第2話 もう一人の幼馴染み

 その晩は、色々なことを反芻し、朝まで寝ることが出来なかった。

 朝六時過ぎだろうか、奴はやって来た。

 学校の用意をして、そっと扉を開けて入ってくる。


 普段より、一時間も早い。


 そっと俺の布団を捲ると、そーっとズボンとパンツを捲る。


 莉尽の鼻息が掛かる。

 するとペロペロと、舐めるのが分かる。

 無論起きているから、すぐに反応する。

「わあっ」

 そんな声がして、触ってくるのが分かる。

 むぎゅむぎゅと。

「へー」

 とか

「ふーん」

 とか。


 そして、あげく。

「しょっぱ」

 

 むくっと起き上がり、驚いている奴のおでこを足で押す。

 スカート全開で、パンツ丸見えだが、今更そんな物では、こちらはテレもしない。

「ひどーい。何するのよ」

「何するじゃない。何をしているんだ」

「良いじゃない。今まで私のを、何度も見たでしょう。ゆうくんのは、あまり見ていないし。興味があるのよ」

「昨日見た先生のと、見比べていたのか?」

「えーまあ。ちょっと。でも、昔と違って、ゆーくんのも大きくなっていて、びっくり。むかしは、このくらいだったよね」

 そう言って親指を立てる。


「悪かったな」

「だから育っていたってば。それでさ、昨日」

 そう言ってもじもじし始めた。

「昨日、勢いで告白したじゃない。どう? 私のこと好き? ねえ、ねえ」

 ちょっと考える。妹のようなものだが、好きか嫌いかで言えば好き。


「うん。好きだな」

「やった。うー」

 今回は、まともにキスをする。


 よくわからんが、舌を入れるんだっけ?

 入れてみる。


 一瞬、莉尽が飛び上がるが、うねうねと絡ませてみる。

 よくわからんが、莉尽の口の中。色んなところを舐めてみる。

 すると場所により、反応が変わる。

 おもしろいなと思っていたら、勢いよく離れ。

「息ができない。いつしたら良いの?」

「鼻でしたよ」

 そう言うと、ガーンという顔になる。


 結局、あーでもないこーでもないと、一時間ほどキスの特訓をした。


「すっごく濡れ濡れになったけど、これでおかしくないのかな?」

 そう言ってスカートを捲り見せてくる。

「良いんじゃないの?」


 その後、眠い目をこすり、学校へ行く。

 よく寝たよ。


「ねえっ。ゆうちゃんどうしたの? 凄い爆睡だったけど。先生があきれていたよ」

「昨夜ちょっと色々考えていて、寝られなかった」

「何を悩むの、せっかく高校に入ったのに」

 こいつは、もう一人の幼馴染み。元樹 万桜(もとき まお)。


「まおーは、勉強も出来るし、スポーツも出来る。どうして、こんな高校に来たんだよ」

「伸ばすな。私は万桜。まおーじゃない。この学校は、まあ近いし良いじゃない。それで、何を悩んでいるの?」

「聞くな、とてもデリケートな問題だ」

「なあにそれ。彼女関係?」

 そう言いながら、このクラスではない。もう一人が居る教室の方をみる。


 この学校。一年生は成績順でクラス分け。

 二年からは、進路やクラスによって変わる。

 今居るクラスは、一組。そのまま行けば、二年からは国立コースになる。

 そのため、寝ていても叱られない。

「なあに、莉尽に告られた?」

「まあ、それもあるが」

 そう言った瞬間、まおーの顔が一瞬。曇る。


「へっへぇー。やっと?」

「なんだ、そのやっとって、言うのは」

「だって、小学校の時から、ずっと家に入り浸りでしょ」

「おまえも、そういえば、中学三年の受験前から来なくなったな」

「だって、ゆうちゃん家へ行くと、すぐゲームになるもの」


 そう言いながら、中学三年の受験前。万桜は寝ている裕也にがっつりキスをした。

 そのため、逃げていた。恥ずかしさと、後ろめたさ。


「高校受かったし、また行こうかな」

「いいぜ。たぶん」


 その日、万桜はスキップしながら帰った。

 告白、云々をすっかり忘れて。


 後日。

「ゆうちゃん。来たよ。お邪魔します」

 万桜は勝手知ったる、ゆうちゃんの家。

 玄関の鍵は、郵便受けの下に敷かれた段ボールの下。

 鍵を開けて、入り。鍵をして、二階へ上がっていく。


 驚かそうと、ドアを開ける。

 そして、自身が驚く。

 そこには、裸で絡み合う、裕也と莉尽。


「うん? ああ、万桜来たのか? 久しぶりだな。もうちょっとで終わるから、まっていてくれ」

「あーうん」

 そう答えて、へたり込む。

 左手には、おやつとして買ってきたドーナッツ。


 思わず取り出し、もぎゅもぎゅと食べ出す。

 目線は、二人から外せない。

 幸せそうな顔をした、莉尽。裕也は、らしい感じで、色々確認して試しているのが分かる。あっ、莉尽の反応が変わった。へー。客観的にと言うか、本物を見たの初めて。興味があり、こそっとスマホで、ビデオは見たことがある。


 莉尽が痙攣し、四肢に力が入る。

 そして、吐息とも言えない声を出し、がっくりと力が抜ける。

 ぺったりと割座(わりざ)で座り込み、目の前になったゆうちゃんのものをゴムを外して、喉の奥まで含む。


 水音だけが、響く。

 軽く、ゆうちゃんがうめく。


 すると、最後まで吸い取ったのか、莉尽の口が離れる。

 そして、足に抱きつく。


「こら離せ、転ぶ」

「ちぇー」

 そう言った後。莉尽が、ふとこちらを見て、びっくりした顔になる。


「えっ、いつから?」

 その質問に、私じゃなくゆうちゃんが答える。

「十分ほど前かな」

「えっ、知ってたの? 言ってよ」

「どうした。見られると興奮するんだろ」

「そりゃ、そうだけど」


 私は、思い切って聞いてみる。

「一体何時から、そんな関係に?」

「うーん。昨日?」

「昨日?」

 驚く。さっきの慣れた感じは一体? あっでも。ゆうちゃんは試すというか、莉尽の反応を見ていたわね。


「そうそう。こいつが興味を持ったらしく、朝爆睡していたら、上に乗っていた」

 一瞬あきれる。莉尽てば寝込みを襲ったの? そう思った後、昔の自身がしたことを思い出す。あーうん。気持ちは分かる。


「そんなにすぐに、気持ちよくなるものなの? 親戚のお姉ちゃんに聞いたら数週間とか痛いって言っていたけど」

 莉尽がきょとんとして、あっけらかんと言う。

「朝は痛かったけど、すぐ慣れたよ」

「そうなんだ」

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