性の不一致(裕也と莉尽)

第1話 裕也と莉尽

 朝目が覚める。

 すぐ横で、アラームが鳴っているのは分かる。

 だが目を開けると暗く、暖かい。

 目の前に、うっすら見える白い布。


 状況を把握。

 ガシッと目の前にある肉の塊を掴み、白い布の真ん中に息を吹き込む。

「ひゃん」

 そんな声が聞こえ、視界が開ける。


 目の前にあったのは、莉尽(りつ)のパンツ。中身入り。

 俺の顔は、スカートに被われていた。


「朝っぱらから、人の顔をスカートの中に入れて、何で俺はパンツを脱がされているんだ?」

「この前、見てたら、顔を蹴ったじゃない」

「当たり前だ」


 こいつは、幼馴染みの田邊莉尽九月生まれで、誕生日が来ていないから15歳。

 俺は、六月が誕生日で16歳。


 こいつが、こんなにもナニに興味を持ったのは、二週間ほど前。


「あのね、おしっこをするときに痛いのよ」

 人が一生懸命宿題をしていたら、トイレから帰ってきた途端にそんなことを言う。


「バッチイ手で、触ったんじゃないのか?」

「触ったけれど、ばっちくないよ。あっ、トイレで拭くときに失敗したかも」

 女の子は拭くとき、前から後ろが鉄則らしい。

 兄妹同然に育って来て、その辺りはあけすけ。恥じらいもしない。


 こいつは、小学校五年くらいまでお父さんが居た。

 その頃には、毎日のように両親は喧嘩をしていたらしい。

 俺には信じられなかった。


 だってこいつのお父さんは、莉尽に性格がそっくりで、どちらかというと優しく。ぼへーとした感じだった。それが毎日、怒って喧嘩?


 俺には、理解できなかった。

 元々、莉尽のお母さんは看護師さんで、働いていた。

 給料もお父さんより多かったようで、さらにおじさんは小さくなっていたと思う。


 その後、お母さんが夜勤の時には、夜中まで家に入り浸り、勉強と称してゲームをしたり漫画を読みあさったりして過ごす。

 莉尽は、勉強が嫌い。だが、変な奴らと連むこともなくちょっとボヘーとしている。

 本人に言わせると、俺の前だけだと言っているが、学校でもあまり変わりがない。

 ぼへっと加減では、ピカイチで、あれは中学一年生の時だったと思う。


「ねえねえ。凄い発見」

 そう言って嬉しそうに教室に居るときに言ってきた。

「学校帰りに寄るから、見せてあげる」


 学校で、保健体育の特別授業があって、性交とと避妊について、女子だけ集めて授業があったようだ。

 その時、図を見て自分の股間を触り電気が走ったようだ。


 普段体を洗うときにも触れるが、ナイロンタオルのため痛かったのそう言っていた。それから後、洗うのに指で洗うと気持ちが良いことを知って、猿になったようだ。


 まあそれで、学校帰りに、わざわざ俺に見せびらかしに来たと言うことだ。

 恥じらいもなく、下着を脱いで見せ始める。

「此処のね、出っ張りが良いのよ。こう、挟む感じで」

 そう言って、自身が満足するまで、ずっと見せられた。


 まだその頃、俺は発育が遅く、精通も来ていなかったと思う。

 それからしばらく、俺の部屋でもしていたが、あるときから恥ずかしいことだと知ったようでしなくなった。


 それでまあ、尿道炎か膀胱炎。手で触って、なったんじゃないかと言ったわけだ。

 俺は、中学三年の時猿になって、尿道炎になった事がある。


「おばさんが夜勤だろ。行って薬貰うか」

「うん。凄くいたいの、おしっこもちょっとしか出ないし」

 そう言って、泣きそうな顔になる。


 そうして、病院へ行く。

 だが、当然玄関は閉まっている。

 此処は入院施設があるわけではなく、在宅の患者さんを抱えている。

 そのため、連絡や予約があれば出かける。

 普通は、寝ていれば良いらしい。


「寝ちゃったのかなぁ。あっあそこ電気が点いてる」

 窓にはブラインドが下がっているが、隙間から明かりが見える。

 そっと二人で、のぞき込む。


 が、おばさん居たけど服を着ず、変わった椅子にベルトで固定されたいた。

 お尻に、管が刺さっていて、大きな注射器で何かを入れられていた。

 無論。これは見てはいけないものだと思ったが、俺も莉尽も目が離せなかった。

 やがて、ホースが外され何か黒い栓がされる。

 おばさんは、二十二歳くらいで莉尽を生んだ。

 まだ四十歳前。


 手前に居た人、あれは先生。若先生かな。

 大きくなったそれを、おばさんにねじ込む。


 莉尽がぼやく。

「あんなの入るんだ」

 やがて、行為は進み。動きが止まる。


 流れ出る、白いもの。

 そして、栓を抜くと、吹き出してくる透明な液体。

 おばさんは、汗をかき。びっしょり。

 そしてまた、別のうねうねする機械をねじ込まれていた。

 だが嫌がってはおらず。むしろ嬉しそう。


 そして、医者は、おばさんに自分の物を咥えさせる。


 そこまで、見て。莉尽を引っ張り家へと帰る。

 色々見た物が、現実離れしてショックだった。

 ただ莉尽は、じっと何かを考えていたが。


 まあそれからだ、こいつが人の物に興味を持ちだしたのは。


 何とか家に帰って、去年貰った、薬を思い出し見つけた。

 多分抗生物質だろう。


 飲ませて、痛みが引かなければ、明日おばさんに言えば良いだろう。

 だが俺が見てもショックだった光景。莉尽はどう思ったのだろう。


 だがそれは、こいつには杞憂だった。

「ゆうくん。見た? 凄かったねえ。お母さん気持ちよさそうだった。凄く嬉しそうだった」

「はっ??」

「えー思わなかった。あんなに髪の毛振り乱して、よだれまで垂らしていた。あのお尻の栓抜く前は辛そうだったけど」

「それ見たこと、絶対おばさんに言うなよ」

「さすがに言わないよ。きっと恥ずかしいだろうし。私が、自分でしているのをゆうくんに見せていたのと同じだもんね。あれ、ゆうくんのことを好きって分かったら、急に恥ずかしくなっちゃって」

「はっ??」

「えっ??」

 急にオロオロし始める、莉尽。


「好き? 誰が誰を?」

「えっ私。言っちゃった? 嘘? あうー」

 そう言って、真っ赤になって、うつむく莉尽。

 

 そうして、放心状態の俺に。「ゆうくん好きなの」そう言い放ち、歯のぶち当たる、熱烈なキスをして、真っ赤な顔のまま帰って行った。


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