第2話 皆仲良し?2

 うん。知っているよ。完璧な私なのに。

 胸が大きくならないって、ずっと言っていたからね。多分僕に言ったことなど、言った後。ストレスがなくなると、忘れているのだろうけど。


 色々聞いたし。自分で試して、マッサージにはならないけれど、胸のこの辺りを上から下になでて、その後、力を掛けずに、下からはじくように先をなでると、気持ちが良いのとか。全部覚えている。

 脇の下から、脇腹までがゾクゾクするとか。

 背中もお尻の上から、背骨にそってなで上げると良いけど、手が回らないとか。

 他にも考えなしに、色々言ってくれて、夜大変だったんだよ。


「揉めば増えるって言う。噂があるよ」

「私を誰だと思っているの? そんなもの、中学生時代からとっくに試したわよ。遥陽たら、中学2年生の頃。胸の大きい娘とばっか付き合っていたでしょ」

「そうなの? そんなの気にして見ていなかったよ」

 これは本当。奴の彼女など興味は無い。

 どうせ、すぐに別れるし。


「どれ」

 むぎゅっと、掴む。

「んんっ。またもう。言ってよ」

「どんな感じ? 我慢できそう?」

「んーまあ。ほら大丈夫」

「そう?」

 触り方を変える。背中側に回り両手で。


「ちょっと、何あんた調子に乗って。ひゃ」

 ぐにぐにとしながら、聞いていた記憶を思い出す。


 様子を見ながら、首筋や耳をカジカジとしてみる。

 うーん。抵抗されないな。

 キスしてみる。

「んんっ。んっ」

 だんだんともじもじし始めるから、調子に乗っていじっていると。

「だめ。やめて」

 そう言われて、手を離す。


「つっ。はあっ」

 珍しく、怒りもせずに小さな声で「帰る」とだけ言って帰って行った。

 真っ赤な顔をして、そそくさと帰っていった。

「なんだか、珍しい反応だったな」


 さすがに、これで来ないかと思ったが、次の日も来た。


 それで、ブチブチと文句を言うだけ言って、脈絡も無く。

「練習をするから」

 そう言って、また行為を行う。

「やめて」

 そう言われて、やめる。

 そして、そそくさと帰る。


 そして毎夜のように、練習は、続く。


 でも、あいあかわらず。遥陽にまた彼女が出来たと、文句が彼女の口から出てくる。

 この頃には、彼女の気持ちがよく分からなくなっていた。


 この練習は何だろう? なぜ恋は毎晩来るのだろう?

 だけど、その答えを聞くことが出来なかった。

 この頃は、彼女のことが好きだったから。

 何でも良いから、触れることが出来たから。



 その時恋は、何も考えていなかった。

 調子に乗って健太に触らせたら、思ったより気持ちがよかった。

 後ろからだと、顔も見えないし。

 つい、キスはしちゃったけど、思っていたより、どうということも無かった。

 自分でするのと違い、感じ方が違う。

 健太なら何も気にしなくて良いし。これ良いかも。


 そして、色々調べ。調子に乗る。


「光栄に思いなさい。舐めさせてあげる」

 そう言って、下着を脱ぐ。

 言い方はあれだが、僕は喜んだ。

 有頂天になって、喜ばせる事に夢中になる。


 そして、僕も色々調べ。調子に乗る。

 ある日。彼女がいくのに合わせて、最後まで行為をした。


 無論正気になった彼女に蹴られ、グーで殴られた。

 今まで、殴られたこと事など無かったのに。


「痛いわよ。何考えているの?」

「遥陽に勝ったじゃ無い」

「それは、そうだけど」

「でどうだったの?」

「痛みさえ無ければ、どうってことは無いわよ」

 などと言っていたが、三日ほどは来なかった。


 僕は完全にやらかした。まあ彼女と出来たからいいや。

 そう思っていたが、懲りずに彼女は来た。


 やがて。

「やっぱり、相手によって違うのね。健太の方が良いなんて」

 そんなことをぼそっと言ったのを、僕は聞いた。

 思わず、動きが止まる。


「何をしているのよ。早く」

「ああ。ごめん」

 一生懸命奉仕をする。


 その頃、学校で遥陽と恋が付き合っていると、噂が流れる。

 遥陽は別の子と付き合っていたはずだが?


 遥陽と付き合っていた子は、学校に来ておらず、やがて転校をしていった。

 そして、また別の子と話が出る。


「どうして、遥陽ってば。あんなに負けず嫌いで、わがままなのよ」

 それを聞き、お互い様だよ。そう心の中で思う。

 それでも、僕は見放さないよ。そう思っていた。


 だが、ある日。

 その思いは、びっくりするほどコロッと変わる。


 うん? いつもと違う。匂いと味も。

 そして僕は気がつく。

 恋の中に残る。遥陽に。


 ああ、そうなんだ。

 その時、一気に心が覚めた。

 この関係になって、少しは僕のことをなどと考えていたが、違ったようだ。


 その事を、理解した。

 あくまでも練習台。ひょっとすると、おもちゃの代わり。

 心は、決してこちらを向かない。


 そして僕は、恋のしたことを、遥陽に教えた。これからどうなるかを考え、心の中で笑いながら、悲しそうな顔でこそっとささやく。


 遥陽の彼女に、起こったこと。

 恋は、遥陽の元彼女。付き合っていた彼女を、親衛隊をけしかけ。回した。

 話があるからと、公園の交流会館へ呼び出し。恋は目の前で起こってる事を笑いながら見ていたそうだ。交流会館の鍵は住民なら持っている。


 遥陽はその子を本気で好きで、突然居なくなっていたことを不思議がっていた。

 その事を、珍しく泣きながら語る、遥陽本人から聞いた。


 だから僕は、親切に事の顛末を教えた。

 遥陽の怒りと、行動は意外に凄く。

 彼の本気を見たよ。


「さよなら。恋。僕は本気で好きだったんだけどね」

 警察とかが来て、連れていかれる彼女を見ている。

 幾度も愛しあったと思っていた部屋の窓から、ささやく。



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 もっと、壊れキャラにしようと思ったけれど、駄目ですね。

 心の、黒いところを書こうとしたけれど、文字に起こすと意外とあっさり?

  補足。この主人公。タイプとしておとなしくて良い子ねと言われるが、アリの巣に水を流し込んだり、虫の羽をむしるタイプ。ですかね。

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