第2話 中学生の頃

 湊と一緒に、中学生になった。

 そして、また大人に成りたい病が、再発をする。

 話を聞くと、お母さん。家では結構キツくあたるようだ。


 その為なのか、一年生の頃は、まだ良かったが、二年生になったころ。

 湊は質の悪い連中と付き合い始めた。


 そのグループの数人は、小学校の時の友人で、湊が変なことにならないようにお願いしていた。

「なんだよおまえ。家族でもないのに」

 そう言ってくる奴に、僕は答える。

「家族みたいな。ものなんだよ」

「何だそりゃ?」

 一人がそう言うと、もう一人が、ニヤニヤしながら言ってくる。

「馬鹿だなあ。湊大、湊が好きなんだろ。さっさと告っちまえよ」


 ニヤニヤされながら、そう言われて困ったが、その方が話が早いか。そう考えて話を合わせる。

「そうだよ悪いか。まだ中学生だしな。まあ気に掛けておいてくれ」

 友人達は、ニヤニヤしながら承知をしてくれた。



 ところがある日。湊が補導された。

 幾人かで、店に行き。その中の1人が、万引きをして見つかり。店内にいたグループ全員が呼ばれ、学校に連絡が来た。


 実際ものを盗っていて捕まり、罰を食らったのは3人だったが、店からグループでの窃盗なら組織犯罪だと言われたらしく。なぜか仲間内全員が最短3日の停学みたいな物を食らった。先生は盗ろうとしたのを止めなかったからだと言っていた。


 中学生は義務教育のため。教育を受ける権利の不当な剥奪となるため、高校のような停学は出来ない。学校に来て、使っていない教室で、大量の宿題が渡され、毎日。反省文と共に提出。


 無論、期間中。親が送り迎えとなっていた。


 当然、それで怒ったのは、湊のお母さん。

 家に来て。

「娘をおたくに預け。安心してしていたのに。なんと言うことなの? これからは責任を持ってみて頂戴」

 みたいなことを、散々わめいて帰ったようだ。


 湊は、それを見て。

 家の家族に迷惑を掛けたことが堪えたようで、良くない連中とは付き合わなくなった。ところが、そう言う付き合いは、折に触れ。誘いがやってくる。


 何かの、祭りの時。

 仲間と、敵対した奴らが乱闘になり、危うく巻き込まれそうになり。

 逃げてきたようだ。ただし、その時に巻き込まれた女の子が、相手に捕まり、性的乱暴を受けて問題となった。早めに逃げていたし、チクリもなく。湊は罰を受けなかった。


「もう絶対に、関わらない」

 湊はそう言って、反省をしていた。

 巻き込まれた女の子はしばらく入院し、転校をしていった。


 そうして、中学3年。

 代替わりして、他校の奴らも手を出してこなくなり。

 また、つるみ始める。


 そして、仲間の一人が、原付で事故り入院。

 それを機に、再び学校からも目を付けられて、なんとなくグループは空中分解をしたらしい。


 夏休み。無事というのか、誰からも誘いがないようで、夏休みの宿題と、思ったより成績が悪かったらしく、1年生からの主要科目全部のドリルが宿題として出されたらしい。夏休み前の懇談で先生に言われて湊のお母さんが、なんと言うことなの恥ずかしいとキイキイ言って、すぐ買ってきたらしい。


 済まさないと、お小遣いが消滅をするらしい。

 結構その言葉が効いたらしく、真面目にやっていた。

 まあ最初は、1年生の分だしやり直すと、一部以外は意外と理解ができる。

 分からないところは、細かくかみ砕いて説明をする。

 すると。

「1年生の時はどうやっても分からなかったのに。凄い」

 そう言って、本人も驚いていた。


 ただこの教えるとき、昔と違い、何か良い匂いがする。

 クンクンしていると、湊が気がつく。

「うん?私、汗臭い」

「いや違う。何か良い匂いがする」

「そう? 今日は何も付けていないけれど」

「そうなんだ」

 そう言ったが、凄くドキドキし始め、横に座っているのが急に恥ずかしくなる。

 でも離れたくもない。


 そうして、悶々としていると、湊が素知らぬ顔をして手を繋いでくる。

 なぜか、ニコッと笑顔で。


 そして数日後、湊だけが午前中やって来た。

「あれ? 海は?」

「友達とプールだってさ。私は行きたいって言っても、許可が出ないのに」

「そうなんだ。まあ上がって」

 そう言って麦茶を、コップに入れて部屋に持って上がる。

 普段は居間でするのだが、2人だからなのか、部屋でしようとなった。


 珍しく上はノースリーブで、下はスカート。

 スカートは何かの時に、すぐ脱がされるから、危なくていやだと言っていたのに。


 ごくごくと、麦茶を飲んで、ぷあーと言う感じで、天井を見つめている湊。

 こっちに向き直り、聞いてくる。

「○○から聞いたんだけど、湊大って、私のこと好きなんだって?」

「えっ。あっ。うん。そうだね」

 なんだかストンと言葉が出た。

「ごめんね。キスは無理矢理されて、初めてじゃないけど」

 そう言って、キスをしてくる。


「んんっ。ぷはっ。ええとあの、息ができない」

「私もよく分からないけど、鼻ですれば良いんじゃないの?」

 検索して、やり方を見る。

「ほへー。こんな感じなんだ」

 そう言ってどんどんと、お勉強は進み。仲良くなった。

「湊大と大人になった」

 そう言って笑う彼女は、いつもよりかわいかった。

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