第2話 色々な事

 ぐっしょりとした、シーツ。


 着ているものも、背中まで濡れている。

 ああっ。


 階段を降りて、父さんたちの部屋をノックする。


「うん? 裕樹か? どうした」

「あー。慶子ちゃんにやられた。寝ようと思ったら、ぐっしょりだ」

「ぐっしょり? えーあの子。また?」


 そう家で、おねしょは初めてではない。

「何か疾患でも、在るのじゃないかしら?」

 ブツブツ言いながら、起きてくるお母さん。


 部屋に上がってきて、布団を捲る。

「とりあえず。慶子ちゃんを着替えさせないと。お風呂へ連れて行って、洗濯機の中へ汚れ物入れて。あーそうね。ざっと洗ってあげて。あっでも、一応女子だけど。まあ5年生だし。この子だし大丈夫か」

 何かお母さんは言おうとしたが、せかされ風呂場へ向かう。


 全然起きないし。二階のシャワールームにしよう。


 一度、慶子ちゃんを運んで。その後。着替えやバスタオルを運ぶ。

 服を脱がして、シャワールームに引っ張り込む。

 何でここまでしても、なぜか起きない。結構重い。


 あーそうか。洗うと、僕まで濡れる。

 仕方が無いが、服を脱ぎ。一緒にはいる。


 髪を濡らさないように注意して、ボディシャンプー。

 ああっ。最近このシャワー使っていなかったから。タオルもスポンジもない。


「いいや」

 ボディシャンプーを手に取り。泡立てる。

 ヌメヌメと、体を洗っていく。

 体を洗って、お尻もお股も。

 なんだか、普段付いているものが、付いていないと変。そう思いながら洗う。足も濡れていたし。ズボンを脱がすときに触れたし、ヌメヌメ洗う。


 洗い終わり、シャワーを掛ける。


 壁にもたせかけているから、腰を浮かせるように持ち上げ、洗い流す。

「よし。終わった」

 そう言って立ち上がり、シャワーヘッドをホルダーに掛ける。


 すると、ぐにっと。

 僕の大事なところが掴まれた。

 目線を下ろす。

 僕のを掴みながら、見上げてくる美しい顔。


 ちょうど、目の前だったのか。

「ちょっと。ぐにぐにしないで」

「ねえ。ひろちゃん。今どういう状況かしらぁ? 私寝ていたのに、顔にこんなもの押しつけて、どういうつもり?」

 そう言って、さらにぐにぐにしてくる。


「今は、やっと体を洗い終わって。ホルダーにシャワーヘッドを、掛けようとしたところ。なぜかは、人のベッドで、慶子がおねしょをしたから。起こしても起きないし、引っ張ってきた。分かったか」


 そう言うと、思い当たったのだろう。

 納得顔だが、ぐにぐにを離してくれない。

「いい加減。離して」

「えーなんだか、気持ちいいの。この手触り。この袋の所。冷たいし、このころころしているのって、何が入っているの?」

 いや両手で、やめてくれ。

 なんか、変な感じがする。


「へー大きくなってきた。あっ。なんだか、皮の下。ばっちい。ボディシャンプー。タオルはないの?」

 近くにあったポンプから、ボディシャンプーを取る。

「私をどうやって、洗ったの?」

「手で」

 そう言うと、素直ににゅるにゅる洗い出すが、なんだこれ?


「うん? 何か辛い? 苦しいの?」

 僕の様子を見ながら、絶対楽しんでいる。

 顔はにまにましながら、ボディシャンプーでヌメヌメと洗い続ける。


「ちょっと待って。しっこ漏れそう」

「えっ。おしっこ? どこから出るの」

「あっ」

 凄く気持ちよく。なぜか足の力が抜け。ガクガク来た。


 床に、へたり込む。正面に凄く驚いた、綺麗な顔があった。

 汚れているけど。

「ちょっと、目と口閉じて」

 しゃばしゃば洗うが、取れない。

 ボデイシャンプーで、洗う。


「あっ。取れた」

「もうっ。びっくりした。あれ何?」

「んーわからない」

 僕がそう言うと。


 慶子が、何かひらめいたという顔になる。

「あっ、この前の。そうか習った奴だ」

「珍しいな。慶子が学校で習った事を覚えているなんて」

「うん。それがね」


 そこまで、言ったところで。

「あんたら、床に座り込んで、何話し込んでいるの。寝れるようには、したから。さっさと体を拭いて寝なさい」

「「はーい」」


「あっ。濡れた服は、バスタオルと一緒に、持ってきなさいよ」

「はーい」


 慶子はさっさと、部屋に戻り。

 僕は、バスタオルと、慶子の寝間着と下着を持って、一階の脱衣所にある、洗濯機に放り込む。


 父さんたちの部屋の前で。

「お休み」

 と、だけ声を掛けて、部屋に上がる。


 そして、部屋に戻ると、奴はすでに幸せそうな顔をして、寝ていた。

「まあ良いか」

 目がさえた僕は、さっきの事と、おねしょについて調べる。


 あーちょっと早いけれど。精通ね。そうなんだ。


 で、おねしょ。


 『5歳以上の子どもで、1カ月に1回以上の夜尿が、3カ月以上続く場合。夜尿症? 5歳では6~7人に1人。10歳では20人に1人。15歳では100人に1人が夜尿症。医療機関に相談せよ』

 あー。病気かストレス? まあ今回。お母さんがおこって、放って帰られたからな。


 朝、大体決まった時間。7時に目が覚める。

 ほっ。今朝は、漏らしてないようだ。


 トイレに行ってから、ダイニングへ降りる。

「おはよう。慶子ちゃんは?」

「まだ寝てる。今朝は、漏らしていなかった」

「そう。一応。マットレスには、ビニールを敷き込んだから、大丈夫だと思うけど。赤ん坊の時使っていた、おねしょシーツがいるかもね? 何処にしまったかしら?」

「そんなに、漏らされたら。一緒に寝るのはいやだよ」


「そうねえ。それに。いくら、ああ言っても、本気で9月まで、ほっとく気なのかしら?」

「さすがに、それはないだろう。今は先生に言われて、頭に血が上っているだけだろ。奥さんあれだから」

 父さんが、会話に入ってくる。

「そうねえ。奥さんあれだから。今のうちに、普通の子になれるよう。慶子ちゃんを教育するのも正解かもね。まともになれば、かわいい子だし」

「だが、母親があれだぜ」

「そうねえ。黙って何もしなければ。美人なのに」

 聞いていて、子供ながらに。両親が、とんでもない事を、考えているのは分かった。


 そっと、上に上がる。

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