2話

そこから入学式は粛々と行われ校長や在校生の先輩の言葉、校歌を聞いたりした後入学式は終わった。


「終わったしクラス分けみにいこーぜ、前の立看板に書いてあるって先生が言ってたじゃん。」


冬は先に席を立ち、手を俺のほうに伸ばしながら言ってくる。高校生にもなって男と手をつなぐとは思ってもなかったが場に任せ手を取る。


「行くかー。」


冬が誘ってくれるままに椅子から立ち周りの人が立ち動くのを待った。

少し古びた体育館にはいたるところに老朽化らしき跡があったり、鉄がさびていたりする。といってもバスケコートの線が引かれていたりゴールがあったりと、部活や体育をする上での問題はなさそうだ。体育館から出るとさっきは気づかなかったが更衣室やトイレがある。


少し先には人だかりができているところがある。そこが名簿のある場所だろう。


約300人がその名簿を見るために立て看板に集まっていた。神のサイズも資源の有効かなのか知らないが小さかったため肉眼で見るのはしばらくたたないと難しい。


「おい、白っ、俺ら一緒のクラスらしいぜ、4組、やったな!これからもよろしく。」


「この距離肉眼で見えるのかよすげーな。そしてよろしくな!」


周りにも俺らのように一緒のクラスになってて喜んでる人や、同じ学校からきてばらばらのクラスになってしまった人がいてとてもにぎわっている。


―ドンッ


実際には音なんてならなかっただろうが擬音を充てるならこんな音がするくらいに肩を飛ばされた。何とか体制を保ちこけずには済んだもののさすがんふらつく。


「ちょっとっ、なんで私に会いに来ないのよバカ白」


胸には俺らと同じ緑色の交渉をつけていることから安永の一年生であることがわかる。名前は姫百合千沙ひめゆりちさ、オレンジ色の髪はボブでまとまっており。緑色の瞳は中学の時俺が吹部をやめた後でさえ定期的に見たものだ。」

中学のころから変わらないが、唯一眼鏡からコンタクトにしたところが変わったところだろう。二重がよりしっかり見えるようになっている。俗にいう高校デビューというやつだろう。


ん、俺?俺は何も変わってない。今まで通り、目にかかりそうなくらいの髪を申し訳程度に整えている程度だ。


残念なことに胸は中学の初めから変わってはないが、それでも魅力ある少女だろう。まぁ今の態度を見てわかる通り俺からしては魅力的には感じないが。


「ごめんて、千沙がこの高校なんて知らなかったから。」


「そんなウソ言わない、私たち受験会場であったよね!」


もちろん嘘だ、だが千沙はそのくらいのことは許してくれる。


「いや、千沙は落ちたと思ってたから。」


「このバカ白来、あなたに勉強教えてたの誰だと思っているのよ。」


千沙は手を腰に当てて仁王立ちのような恰好をしている。


「ごめんて、ただわざわざ会いに行くようなキャラでもないでしょ俺」


「まぁ、それもそうね、とりあえずまた三年間よろしく、あんたそろそろ過去のことは忘れて吹部入りなよ。あと、美緒みおと月にもあいさつしなよ。、またね」


「あの二人も受かってるのかよ。またな。」


別の人が千沙を呼ぶ声を聴いてからすぐ話を切り上げ行ってしまった。


「嵐のような人だったな、それにお前もあんな感じで嫌味とか冗談言うんだな、びっくりしたよ。」


今まで蚊帳の外だった冬があっけにとられた声で言ってくる。


「ごめんごめん、あいつは姫百合千沙っていうんだ、同中で吹部の時の友達だよ」


「そうなんだな、それにしてもめっちゃ可愛いなあの子、バスケ部のマネージャーに来てほしかったけど、あの様子じゃ吹部はいるんだろうな。」


「あいつは吹部バカだからな、ついでにおせっかいバカでもある。」


[ははっ、やっぱお前おもしろいな。俺あそこに母さん居たからまたな白。」


手を振りながら、そう言って冬が去っていく。


上を向くと青い空とピンクの花々が一面に目に入る。


ずっと八神と一緒にいて、そのあとすぐに千沙がいたため上を気にすることがあまりなかったが、そこにはもう少し散ってきている桜が咲いている。


秒速5センチメートルだっけ......桜はまるで中学生の時の自分だ、先輩と一緒にコンクールに行った時期が満開、そこからゆっくりと落ちていく花びらは今の自分。桜は二度美しく映えるといわれる、一つは満開の時、もう一つは落ちた桜が道を作るとき。一体いつ自分はもう一度映えるのだろう。





















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