魯迅の 阿Q正伝について

 中国の文学から大陸の国の考え方を書いてきたが、最後は中華民国の時代の小説家、魯迅ろじんの阿Q正伝あきゅうせいでんについて述べることにして、この作者と作品はその当時(生没年1881-1936)の当時のあの国の状況がよく見える。


 彼はそれなりに裕福な家庭で育ったらしいが、父が獄死ごくししたため、一気に没落しその後の様々な事柄を経験することによって、かなり世の中、世間に失望していた人物に見える。日本にも一時期いたらしいが、親しい友人もほとんどなく、帰国、その後も小説を書き、世の矛盾を嘆きながらこの世を去った人物である。


 この作品「阿Q正伝}は、無学であったため、その当時に起こった事件の主犯とされ、わけもわからぬうちに死罪になる主人公を書いたもので、その当時のいろいろな時代背景や、真実を知らないのに主人公を笑うように見物している人たちの無知さを書いたものである。


 実際彼の時代には「スパイ」と決めつけられ、見世物のようにされる受刑者がいたようで、そういう時代、世の中を彼は嫌っていたようである。父の件も彼のその考えに拍車はくしゃをかけたのだろう。


 実際、今の世界を見ると同じような話はいくらでもあり、人間は進歩しているように見えて巨巨大きな輪をなぞってまっすぐに見える道を進んでいる」のかもしれない。

 

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