第2話

「決めたわ!」


――デスゲームの主催者は、虹夜さんのご両親でした。


これはゲームの終盤に明らかになるのだけど、自らの手で仇討ちをするために国の技術力を結集して始めた「デスゲーム」だったのです。

そして、表向きは『国防の為』として開発された の実験場としての兼ね合いもあったそうです。


虹夜さん。つまり、私が『 卵頭ランドウ 公崇キミタカ 』に殺された事で、両親の暴走が始まってしまうのだ。


このルートを回避するためには。事件を起こす前に、夫を始末するしかないわ。

我が子には、寂しい思いをさせてしまうかもしれないけど、ヤルしかないのです。




でも。




念には 念を入れて――。


失敗した場合の保険をかけて、

このゲームの主人公を味方に付けておこうと思います。


そう。


5年後に起こる事件を 未然に 回避するために、私は万全を期すのだ!



あれ?

主人公って、どんなだっけ?



えっと……平凡な一般人でありがちで、

特に 序盤は見た目もスペックも普通だったような。


そうそう。

運動神経が 急に良くなりがちなのよね。

ヒロインを助ける時だけ 急に身体能力が向上したりして。


序盤から みんなで助かる方法を考えてて、

(そんな方法は ないんだけどなぁ)


『争いはやめよう』とリーダーぶるのよね。



……ダメだ。


主人公が 高校生だった事しか 思いだせない。

どこから探せばよいか、まったく見当もつかないわ。



だったら、ヒロインを探すしかない!


ヒロインって 家庭環境が [複雑になりがち] なのよね……

(よくある 父親から暴力ふるわれてるとか マッドサイエンティスト系よね)


児童虐待施設を探せばいいのよ!

(でも、この国って、けっこう多いのよね……)



そうそう!


ヒロインには幼馴染キャラがいたわ。

心が弱いせいで 途中で裏切っちゃって 敵側についちゃうのだけど。


あぁー。設定をぜんぜん覚えていないわ。


あぁ、もう!

もっと印象に残っているキャラクターは、いなかったかしら?



――あっ!?


太った オタクメガネ!

急に叫んで、自爆するのよね。

(ほんとに ビックリしたわ)


……それ以外は 特に説明のないキャラクターだったのよね。



えぇっと。


ほ、他に、覚えているキャラクターはなかったかしら。



たしか、愛想いい少年キャラがいたわ。

後で敵になりがちで、他人を利用することしか考えていなかったのよね。

(でも、5年前だと まだ園児よね……)



あっ! そうだわ。


なぜか、このデスゲームにやけに詳しいヤツがいたわね。

序盤に死んだはずが生きていて、ミステリアスな女。


たしか…。



このゲーム制作会社のクラファンで、最高額出資者のひと。

ゲームに登場するキャラクターを、ひとりだけ、作れる権利を得たひとだ。


そのキャラは、やたらと上半身裸の執事をたくさんはべらせて、

妙に親しくしてくるヤツだった。



名前は たしか。み、う……。


そうよ! 女神 美羽って名前だったわ!


日本 広しと 云えど、

こんな おかしな苗字の人なんて、

絶対に かんたんに 見つけられるはずよ!


生後間もない赤ちゃんを寝かしつけ、インターネットで検索を開始する。



この人なら、主人公くんの居場所を 知っているかもしれない――。




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