double psycho collide # ﾀﾞﾌﾞﾙｻｲｺｺﾗｲﾄﾞ

第3話

あのサル顔の化け物と目が合った後…

彼女が固まりながら、こちらのほうをチラ見してくる。

落ち着けとジェスチャーで再度伝える。

すぐにでも逃げ出したいだろうけど、

彼女はサル顔からは目をそらさずに何か考えているようなそぶりを見せる・・・

それから彼女はサル顔と犬型を交互に見て

サルも犬に気づかれたくなくて下手に動けないのを察したようだ。

察しがいい！

いいと思います。

ふぅ・・・これからどうするかな。妙な三すくみみたいになってるけど。

この状況、いつまでも続かないぞ。

！

っ瞬間、女がかなりのスピードでこっちに向かって走り出した。

走り出しとほぼ同時に近くにあったガラス片をサル顔に投げつける。

犬たちがすぐに気づいてエスカレーターのほうへ回り彼女を視認して追いかける。

判断が早い！

サルの目にガラス片が入った！

片目を覆いながら犬型に見つからないようにカフェの天井の死角となってる部分に身を潜ませた。犬が動き出したことでサル顔は彼女を追えない。

だが犬型から逃げきれるのか？

てかどうすんだ、この状況！

彼女は五輪の陸上選手も真っ青というようなスピードと身のこなしでこちらに向かってきてるが…

犬は、さらに速い！

え？ていうかここまで来ても俺そいつら追い払えないけど！

俺のところまで来るならショートカットするしかない。

吹き抜けの手すりから体を出し…

手を伸ばすと彼女がトップスピードのままこちらに飛び込んで・・・

２階から３階の手すりにいる俺のところまで一気に跳躍してきた。

ギリギリで俺の手をつかんだ！

彼女を踊り場に引き上げる。

もう犬型が２匹、目の前に来ていてそのまま２匹同時に俺の上半身めがけて

噛みつこうと飛びかかってきた！

彼女の手を放し、手すりからすぐに吹き抜けの下の３階のふちに掴まる。

２匹はそのまま３階吹き抜けから１回の地面に落下。

１匹はすぐに起き上がったが２匹目になんとサル顔が不意打ちで瓦礫で犬型の頭をつぶした！

もう一匹の犬型がサル顔を見つけ即背後から肩にかみついた。

サルが犬ともみあいの格闘状態になる。

今落ちてきたもう一匹の犬型がサルの足に噛みつく。

獰猛さがすごい…

食らいついたら絶対離さないって感じだ。

サルが絶叫する。

犬を振りほどこうと暴れまわるが成功しない。

変なイメージがわく。

サルの顔が心なしか一瞬人間のように見えた。

そのすぐあとサルの顔はなんとすこし犬型の顔に変化した。

んだこいつ？今度は許しを請うような雰囲気で悲鳴をあげながらも暴れる。

それにしてもアイツもっと力強くなかったか？クマなみの膂力だと思ってたが。

普通の人間よりは強い程度か。というか俺はいつまで指だけでここにロッククライマーみたいに掴まってられてるんだ？

明らかに身体能力が上がってる。

あの子だってそうだ。とても普通じゃない身体能力。

あれ？あの子は？

屋上駐車場近くの入り口に飛び戻ろうとする前に彼女がこちらを見ていて目が合った。

挨拶の前に彼女が指を空中に向かって指していく。

犬から見えない位置取りをしながら小声で

「みえてますか？」

「・・・このエネルギーというか霊気というか」

「そう！そうそう。よかった・・・」

ほっとした顔

「これは？」

そういうと目をつむって祈るように手を組みだす。

霊気が集まっていき彼女の中に入っていく。

俺もやろう。さっきみたいに瞑想して手も合わせる。

いつも瞑想するときのように手のひらじゃなく指を合わせるように。

心なしかすこしだけ吸収効率が良くなった気がする。

心地いい

空気が旨く感じる。

数十秒ほどそうした後

「そうだ、俺からも。これは？」

そうして気配を消す技を見せる。

彼女は少し驚いた顔をしてもう一回やってというジェスチャーでお願いしてきた。

もう一度ゆっくり見せる。

すごく集中した表情で彼女も気配を消し始めた。

だが途中で気配を消すのをやめた。

？

「これが限界みたい。多分練習しないとあなたみたいなレベルではできないと思う。」

「え、そうなんだ。わかった。」

「でもこれで十分犬のエイリアンにはかなり見つかりずらくなったと思う！ありがとう！」

「いいえ、こちらこそありがとう。あとあれってエイリアンなの？」

「え？適当にそう呼んでるだけだけど…」

「あー、なるほど。」

「それと提案なんですけど。この施設内をもっと探索しておかない？」

「まぁ、それはいいけど…」

「ありがとう！」

「あと一ついい？・・・・・・なんで服を着てないの？」

・・・