第4話 蒲田行進曲
舞台上に目を戻す。
集中、集中。
アキヒトと呼ばれた人間が、ハルオという人間の呼びかけに答える。
「俺の前ではとりつくろうなよ」
どうも、親しい関係のようだ。
それは、同性愛というもの、だろうか。
男同士の、怪しくも、親しい関係。
時として、男同士の肉体関係は、商品として消費されやすい。
真実の愛、とか、性別を超えた愛、とか。
同性愛。
男性同士の同性愛は、尊い、賞賛の対象になる。
見目麗しい二人の役者なら、当然だろう。
まるでそれは、つかこうへいが書いた戯曲、「蒲田行進曲」における、銀ちゃんとヤスを思い起こす、リマインドオブ、だったか、英語では。想起させる、を。
米国から離れて何年も経ち、忘れてしまった。英語も、日本語も、両方が空中分解し、脳内で散らばって、かなしく出番を待っている。
スペイン語もフランス語もイタリア語も、広東語もヘブライの言葉も、トーラーも。
かつて、シオンの地を目指し、私の先祖は東を目指した。我らが同胞が亡くなったのに、私は生き残ってしまった。
生き残る価値すらない、わたしが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます