第136話 廃嫡から始まる異世界迷走?
「第1王子、ダン・アルスハイド‼お前を廃嫡とする‼」
なぜか意気揚々と宣言する、この丸い人は……
多分王様‼
この世界に来た時見たことあるよ。
サーブル・アルスハイド。
50手前だったと思う。
丸々した体の、これぞ王様だ。
で、『廃嫡』を宣言されたのが、第1王子。
25歳の、ダン・アルスハイド。
ダンは……
父親と同じ体形をしている。
……
いや、体形で人を差別したりしないよ。
でも、この世界、『異世界もの』じゃない?
異世界転移、または転生した場合、主人公が女性なら全ての男はイケメンで無ければならない。
これは絶対の掟なのに⁉
数日前、お城からメッセージが届いた。
『結界が完成し我が国は平和を取り戻しました。
勇者の方々に感謝と、そしてこの国の貴族社会の説明を兼ねて、晩餐会を開催します。
ぜひご出席を……』
これは、王太子に見初められて『聖女』になる予定の私としては、千才一隅のチャンスだ。
聖女?
聖女になれるよねえ、私?
なれる、絶対。
火魔法や水魔法も使えるけど、攻撃魔法得意だけど、回復魔法も使える。
うん、回復魔法イコール聖女。間違いない。
で、意気揚揚と登城した。
晩餐会でいきなり始まった茶番。
今ここ、だ。
第1王子は私の攻略対象の最有力候補だ。
異世界で、見初められて幸せになるのなら、次期国王が1番なのは当たり前だ。
『氷の辺境伯の嫁』とか別パターンもあるが、あと王太子が無能でレースから消え失せ、可能性がないと思っていた次男が……みたいなパターンもあるが、王道なら第1王子でしょ?
体形は気にいらないが、とにかく流れに乗りたくてダン王子に近付いた。
そのために、パターンに従ってピンク・ブロンドにした。
声をかけようとしたその時、『廃嫡』云々が始まったのだ。
「そんな事は知っていますよ」と、ダン王子が笑う。
「いや、召喚勇者の中には知らない人もいるだろうし、サービスだな。」
「嫌なサービスですね。」
「まあな。」
まるで家族同士のじゃれ合いの様に、ニコニコ笑う王様と王子様。
「じゃあ、僕も廃嫡ですね。」
口を挟んだのは第2王子のマルク・アルスハイド、20歳で、さも当然のように言う。
「そうじゃな。」
「謹んでお請けします。」
「ああ。」
ちなみに、マルクは鉛筆みたいに細い。
ウエスト、私より細くない?
周囲の人々……
豪華な装いから貴族だと理解出来たが、彼らも何も驚かない。
つまり、この国の人々は、
『王子達が後継ぎにはならない』と知っているのだ。
「うちは1番下が優秀でね。
2年前だったか、国中に発表済みなんだ。」
王様の後ろから出てきたのは、アルル・アルスハイド、18歳。
この国の次期国王,同い年の女性だった件。
いや、マジかぁ⁉
同性相手じゃ、『聖女計画』、全然無理じゃん⁉
え?
現実世界で意味不明の婚約破棄にあって、異世界まで来て、またこれ?
「ぶふっ‼」
思わず膝から崩れる私に、背後に控えていたメイドが耐え切れず吹き出した。
背が高い、金髪の女性だった。
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