第135話 ピンク頭のヒドイン登場
アパートのドアを開けると、姿見の前で髪型を確認する28号の姿が飛び込んできた。
うわあぁぁっ‼️
なにそれ⁉️
なんなの、その色⁉️
ピンクだ。
目が痛くなる……
色々『痛く』て、心もグラグラふらつくくらいの『ピンク』なのだ。
えっ⁉️
28号って、真っ黒な髪に真っ黒な瞳の純日本人じゃんか⁉️
怖くて指摘出来ないが……
黒い瞳にピンク頭、似合わないよ。
って、アルスハイドにそんな髪染め、あったの?
金か茶じゃなかった?
自作なの、まさか?
怖い、こいつ。
自作じゃなければ、ペンキに頭を突っ込んだ系のピンクだ。
いや、それも怖いけど。
いや、痛いけど。
頭の中が、いちごがする並みの突っ込みで渦巻く。
言葉を失い呆然とするわたしに、
「あら?貴方は?」
「……」
「この世界に来た時の、案内人の方じゃないですか?」
ときた。
なに、その言葉遣い。
君、そんな話し方じゃなかったよね?
なにムーヴなの⁉️
いや、真面目に訳がわからないな、この子。
28号は召喚直後から不安定で……
癇癪をおこすは、いきなり笑い出すはで、他の勇者達をどん引きさせていた。
一体日本で君に、何があったの?
少し前から、新しい召喚者の『お迎え』と『チュートリアル』のみ担当し、事実上『引退』していたわたしだが……
不安過ぎて、何回か討伐にも参加している。
この人、いきなり火魔法で仲間ごと燃やしかけ(防いだよ)、ウインドカッターで仲間ごと刻みかけ(……防いだ)、ウォーターカッターでまた仲間ごと刻みかけたよ(防いだよ)。
最終的には、土魔法のアースニードルを使って貰った。
他の魔法より効果範囲が狭いから、フレンドリーファイヤは起こりにくい。
ああ。
ちなみにアースニードルとは、地面そのものに巨大な針が立ち上がる。
魔物を串刺しにする魔法だ。
そして28号が召喚されて2ヶ月、結界が完成する。
「よし‼️私の番だ‼️」
意味不明な気合いと共に、アルスハイドの街に消えたこいつを、拭い切れない不安を抱えて見送ったが……
28号、相変わらずわからない。
とにかく、早く伝えてしまおうと説明した。
意識せず早口になるのは諦めて貰おう。
わたしは早く逃げ出したい。
こいつの相手、本気で疲れる。
日本に帰ることが出来る旨伝えても……
「ほほほ‼️今更ですわ‼️」
「私は日本なんかに帰りませんの‼️」
「私は王子様に見初められて、この世界で幸せになりますのよ‼️」
……
は?
王子様?
大福(王)には3人の子供がいる。
狙われた大福2世。
え⁉️
どういう展開⁉️
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